建造物の部
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/20 04:17 UTC 版)
2019年(平成31年)3月現在、国宝の建造物は、近世以前が224件(内訳:神社40件、寺院157件、城郭9件、住宅14件、民家0件、その他4件)、近代が2件(内訳:産業・交通・土木1件、住居1件)の合計226件である。 なお、近世以前で言う「住宅」は城郭の御殿、社寺の書院、客殿などを指し、「民家」は町屋、農家などを指す。民家の国宝指定物件はない。 1967年(昭和42年)に法隆寺綱封蔵が指定されて以後、国宝建造物の新規指定は30年間にわたり行われていなかったが、1997年(平成9年)には正倉院正倉(奈良)と瑞龍寺仏殿・法堂・山門(富山)が指定された。正倉院正倉の国宝指定は「古都奈良の文化財」がユネスコの世界遺産として登録されるにあたっての措置であった一方、瑞龍寺仏殿・法堂・山門の国宝指定は、昭和50年代から行われてきた近世社寺建築調査によって、近世社寺建築の評価が進んだためであり、この指定以降、2002年(平成14年)の知恩院本堂・三門(京都)、2004年(平成16年)の長谷寺本堂(奈良)、2005年(平成17年)の東大寺二月堂(奈良)、2008年(平成20年)の青井阿蘇神社本殿・廊・幣殿・拝殿・楼門(熊本)の指定など、近年は近世建築の国宝指定が目立っている。 また、洋風建築の国宝は長らく大浦天主堂(長崎)のみであったが、2009年(平成21年)には近代の建造物としては初めて旧東宮御所(迎賓館赤坂離宮)が指定された。 異色の指定物件としては元興寺(奈良)と海龍王寺(奈良)の五重小塔がある。元興寺塔は高さ5.5メートル、海龍王寺塔は4メートルほどの小品で、当初から屋内に置かれたものだが工芸品ではなく建造物として国宝に指定されている。
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