広国屋
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/10 01:08 UTC 版)
「風の市兵衛シリーズの登場人物」の記事における「広国屋」の解説
勘七郎(かんしちろう) 日本橋小網町で醤油と酢の卸と醸造、明樽の買い取りを行なっている老舗、広国屋の当主。32歳。気弱で優柔不断な性格で、経営の実権を頭取の伊右衛門に握られ、本当は憧れている美早を後添いに望むこともできない。そのため、妾のお園の元に入り浸って現実逃避の毎日を送っていた。 しかし、当初は疎ましく思っていた市兵衛と接し、当主としての責任感を取り戻す。そして、伊右衛門と対決し、川賊の襲撃からも家族を守り通した。事件解決後、美早を後添いに迎えた。 美早(みはや) 勘七郎の義姉。27歳。妹の春の看病と娘たちの世話のために広国屋に来て、春が亡くなった後も留まっている。強く賢く優しい人柄で、実質的に女将としての働きをしており、久や昌も懐いていることから、伊右衛門一派以外の奉公人からは勘七郎の後添えになることを期待されているが、勘七郎の優柔不断のせいで話が全く進まなかった。 父から算盤を学んでおり、明樽取引に関する帳簿に不審を抱いて父に相談し、市兵衛を雇うことになった。 川賊の襲撃時には、懐剣を抜いて果敢に戦った。 事件解決後、勘七郎と祝言を挙げた。 春(はる) 勘七郎の妻で、美早の妹。流行風邪をこじらせ、2年半前に2人の娘を残して亡くなった。 久(ひさ)、昌(まさ) 勘七郎と春の娘で、3歳の双子。美早に懐いている。 伊右衛門(いえもん) 30年以上広国屋に奉公している頭取。店の実権を握っており、勘七郎が奉公人に何かを命じても、伊右衛門の裁可がなければ実現しない。 御用達の古河藩の小此木主膳と通じ、広国屋の主人にしてもらう条件で、三枝吉や売り倍方の手代たちを使って木綿の直買いに手を貸している。 出入りの同心吉岡から事件が発覚しそうだとの連絡を受け、店の金を持ち出して古河藩に保護を求めに行ったが、北町奉行所から連絡を受けた藩士たちに捕らえられ、抵抗したためという理由で殺害された。 三枝吉(みえきち) 副番頭。直買いに加担していた。後に伊右衛門と共に殺害された。 文蔵(ぶんぞう)、彦助(ひこすけ)、藤十郎(とうじゅうろう) 大口の客を相手にする売倍方の手代で、明樽の仕入数を少なく帳簿に記載し、1個あたりの価格を高めに設定して仕入額自体は変わらないようにして、帳簿に載っていない樽をこっそり売り払う手口で得た金を着服していた。また、直買いにも加担しており、逃亡後に伊右衛門と共に殺害された。 平次(へいじ) 売倍方の手代。20代。賭博癖があり、市兵衛は一緒に博打をして壺振りの癖を教え、また平次が手を焼いていた五十八を説得する仕事を任されることで、一旦伊右衛門たちの信用を得た。それにより売倍方の手代たちが明樽の横流しを行なっていることが判明する。 彼も直買いにも加担しており、伊右衛門と共に殺害された。 圭介(けいすけ) 手代。中目黒村出身。その誠実さと明るさ故に、頑固一徹の五十八からも好かれていた。 売倍方に抜擢されて、店が直買いに加担していることを知った。また、店の経営について学んでいた美早に、明樽取引の不正をさりげなくほのめかすなど、店の不正に心を痛めていた様子がうかがえる。 1年前の4月、売倍方から部署替えを主人に願い出るつもりだと家族に手紙を出して間もなく、土浦から醤油を江戸に運ぶ船に乗っていたときに、酔ったあげくに誤って川に落ち、水死した。しかし、圭介の裏切りを心配した小此木一派の策略で殺されたのだと後に判明する。 お房(おふさ) 市兵衛に膳を運んでくる下女。毎日晩酌の相伴に預かりながら、広国屋の内情について市兵衛にいろいろと教えてくれた。女房のようにかいがいしく世話を焼く姿を見て、訪問した弥陀ノ介は「微笑ましい仲」と市兵衛を冷やかした。 信吉(しんきち) 小僧。店にやってきた市兵衛にすっかりなついた。その様子を見て、勘七郎は市兵衛の人となりを見直す。 お駒(おこま) 美早に仕える腰元。土浦への船旅に同行した。
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