平均値の多重比較とは?

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平均値の多重比較


 平均値の多重比較は,いくつかの群の平均値全体として差が見られたときに,どの群の間に差があるかを検定するための手法である。
 平均値の多重比較 対比
   平均値の多重比較 ライアン方法
   平均値の多重比較 テューキー方法
 平均値の多重比較 線形比較
   平均値の多重比較 テューキー方法
   平均値の多重比較 シェッフェの方法
 平均値の多重比較 対照群との比較
   平均値の多重比較 ダネット方法

平均値の多重比較(対比較--ライアンの方法)


 一元配置分散分析結果全体として平均値有意な差が認められたときにも,全ての群間に平均値の差があるわけではない
 対比較とは,どの 2 群の平均値の間に有意な差があるかを検定するための方法である。


例題
 「都道府県を 4 つに分けてそれぞれの群における癌による死亡率人口 10 万人あたり)の集計結果表 1 のようであった。平均値に差があるといえいるか,有意水準 5% で検定しなさい。また,多重比較行いなさい。」
表 147 都道府県における癌死亡率

都道府県  平均値 標準偏差
第1群 8   135.83 19.59
第2群 11   160.49 12.28
第3群 22   178.35 15.01
第4群 6   188.06 9.81
全体 47   168.17 22.40



検定手順:
  1. 前提
  2. ライアン方法では,名義有意水準(α ')という概念が使われる。k 群の場合全ての 2 群の平均値の差を検定する場合には,kC2 回の検定を行わなければならない検定結果全体として有意水準を α とするためには,個々検定において有意水準を α / kC2 まで下げておけばよい。しかし,もし平均値最大値最小値有意な差が認められたときには次の段階k - 1 個の平均値の差を検定するときには有意水準もう少し大きくしてもよいであろうこのように考えると,個々検定使用する有意水準として,次式で表される名義有意水準使用すればよい。
    α' = 2 α / { k ( m - 1 ) }
    ここで,m は比較する 2 個の平均値平均値の多重比較(対比較--ライアンの方法)i,平均値の多重比較(対比較--ライアンの方法)j としたとき,平均値の多重比較(対比較--ライアンの方法)i ≧ 平均値の多重比較(対比較--ライアンの方法)p ≧ 平均値の多重比較(対比較--ライアンの方法)j を満たす 平均値の多重比較(対比較--ライアンの方法)p の個数である。
  3. 平均値の多重比較(対比較--ライアンの方法)i と 平均値の多重比較(対比較--ライアンの方法)j の平均値の差の検定には,次式による t0 統計量を用いる。ここで,Vw は群内平均平方(群内分散),ninj は群 i,群 j のケース数である。
    平均値の多重比較(対比較--ライアンの方法)
  4. t0 統計量は,自由度n-k(すなわち Vw自由度と同じ。)の t 分布に従う。
  5. 有意確率P = Pr{|t|≧ t0} とする。
  6. 帰無仮説採否決める。

対比較は,以下のように行われる
  1. まず,平均値最大である群と,最小である群について検定を行う。
    このとき,m = k である。もし有意差なしならば,検定終了結論は「個々平均値対に差はない」とする。
    もし有意差ありならば,次へ進む。
  2. m = k - 1 となるような 2 個の平均値比較を行う。このような平均値組合せは 2 通りある。すなわち,最大平均値 vs. 2 番目に小さ平均値,2 番目に大き平均値 vs. 最小平均値検定を行うことになる。
    名義有意水準は,1. の場合よりも大きくなる
  3. m = k - 2k - 3, ... ,2 となるような 2 個の平均値比較を行う。ここで注意すべきことは,対象となる 2 個の平均値が,それまで検定実施過程有意差なしとされた平均値に挟まれている場合には,検定実施せずにただちに有意差なしと結論する。例えば,平均値の多重比較(対比較--ライアンの方法)a ≧ 平均値の多重比較(対比較--ライアンの方法)b ≧ 平均値の多重比較(対比較--ライアンの方法)c ≧ 平均値の多重比較(対比較--ライアンの方法)d (a = b または c = d場合を含む)で,a 群と d 群の平均値有意差がなかったとしたら,無条件に a:b,a:c,b:c,b:d,c:d 群にも平均値有意差がないとする。これは,前述の 1. の検定結果対す解釈規定と同じである。

  以上のようにして得られた全ての結論,すなわち「群 x と群 y,群 u と群 v ... に平均値の差が認められた。そのほか平均値組合せには有意差認められなかった」は,全体として有意水準が α になる。


例題の解:
  1. 一元配置分散分析結果全体として平均値の差があることがわかる。
  2. 多重比較結果は以下のようになる。これ以外の組合せでは有意な差はない。

47 都道府県における癌死亡率対すライアン方法による多重比較
比較する群 名義有意水準 t 値Ryan 自由度 有意確率
第 4 群:第 1 群 0.00833333 6.538662 43 <0.0000001
第 4 群:第 2 群 0.01250000 3.672794 43 0.0006595
第 3 群:第 1 群 0.01250000 6.963078 43 <0.0000001
第 3 群:第 2 群 0.02500000 3.269975 43 0.0021219
第 2 群:第 1 群 0.02500000 3.588144 43 0.0008472


平均値の多重比較(対比較--テューキーの方法)


 本来は各群の例数等し場合テューキー方法呼び例数等しくない場合拡張したものをテューキー・クレーマーの方法と呼ぶことが多い。
 古い本には,「各群の例数等しくない場合にはテューキー・クレーマーの方法使えない」と書いてあるが,現在(1984年以降)では「対比較を行う場合にはテューキー・クレーマーの方法を使うべきである」ということになっている
例題
 「都道府県を 4 つに分けてそれぞれの群における癌による死亡率人口 10 万人あたり)の集計結果表 1 のようであった。各群の平均値全ての組み合わせに対して対比較を行いなさい。」
表 147 都道府県における癌死亡率

都道府県  平均値 標準偏差(注)
第1群 8   135.83 19.59
第2群 11   160.49 12.28
第3群 22   178.35 15.01
第4群 6   188.06 9.81
全体 47   168.17 22.40
注:ここに表示した標準偏差は「不偏分散」の平方根である。


検定手順:
  1. 前提
  2. 誤差分散 Vw = (一元配置分散分析における群内不偏分散と同じ)を計算する。
  3. 全ての 2 群の組み合わせについて検定統計量計算する。
    第 i 群と第 j 群(i < j)の平均値それぞれ 平均値の多重比較(対比較--テューキーの方法)i,平均値の多重比較(対比較--テューキーの方法)j,サンプルサイズを ninj とすると,検定統計量 tij次の式で計算される。
    平均値の多重比較(対比較--テューキーの方法)
  4. ステューデント化した範囲の表”(α = 0.05,α = 0.01)から,「群の数」が k,自由度ν(誤差分散 Vw に対応する自由度。すなわち,一元配置分散分析における群内不偏分散自由度と同じ)に対応する数値読みとり,この値を q(k,ν,α) とする。
    なお,対応する自由度が表にない場合には,もよりの 2 個の自由度対する値から自由度逆数補間求める。
  5. 比較する群間に平均値の差があるかどうか判断する。



例題の解:
  1. 誤差分散 Vw = { (8-1)×19.562+(11-1)×12.282+(22-1)×15.012+(6-1)×9.812 } / (47-4) = 9406.8433 / 43 = 218.7638。
    対応する自由度 ν は 47-4 = 43
  2. 検定統計量 tij以下の通り
    表 247 都道府県における癌死亡率対すテューキー方法による検定統計量
    j\i第 1 群 第 2 群 第 3 群
    第 2 群 3.588*

    第 3 群 6.963* 3.270*
    第 4 群 6.593* 3.673* 1.425

  3. 群の数(k)= 4,ν = 43 のときの3.779 q(k,ν,α) は,“ステューデント化した範囲の表”(α = 0.05)にないので,補間する。
    νb = 43,νa = 40,νc = 60,a = 3.79,c = 3.74 として,逆数補間 により,νb = 43 のときの q(k,ν,α) は 3.779534884 である。
  4. q(k,ν,α) /√2 = 2.672534746 と表の検定統計量比較する。有意な差が認められるものに * をつけておく。




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