対馬連続仏像盗難事件
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/18 16:11 UTC 版)
「朝鮮半島から流出した文化財の返還問題」の記事における「対馬連続仏像盗難事件」の解説
詳細は「対馬仏像盗難事件」を参照 2012年10月8日にも、対馬仏像盗難事件が発生し、対馬の海神神社の国指定の重要文化財「銅造如来立像」、観音寺の長崎県指定文化財の「観世音菩薩坐像」、多久頭魂神社の長崎県指定文化財の「大蔵経」が、8人の韓国人窃盗団に盗まれた。犯人は2013年に韓国で逮捕され、仏像2体は回収された(「大蔵経」の行方は不明)。 しかし、これらの文化財の価値が韓国の国宝級であることが判明すると、韓国では返還を惜しむ声が高まり、中央日報は「(日本側が)略奪や強制搬出した事実が確認されれば話が変わる」と主張、ハンギョレは「国宝級仏像は略奪物?」の記事で「返還拒否には流出の不法性を証明しなければならないが、事実上不可能との見解が優勢だ」と指摘、YTN局は文禄・慶長の役の際に仏像が流出した可能性が大きいと主張した。韓国の大学教授らは銅造如来立像は神功皇后が、観世音菩薩坐像は倭寇(または豊臣秀吉)が、朝鮮から日本に略奪したと主張し、日本が返還を求めるならば入手経路を明らかにしなければならないという世論を形成していった。2013年2月、忠清南道瑞山市は日本への返還に反対し、韓国最大の仏教宗派曹渓宗瑞山市住持評議会は「文化財の不法略奪、不法流出、盗難経行為ついては、歴史的・時代的状況を遡及して適用すべきだ。窃盗団は法に従い厳重に処罰されるべきだが、仏像は過去の(朝鮮半島からの)流出経路が明らかになるまで日本に返還してはならない」としたうえで「調査の間は国連教育科学文化機関(ユネスコ)の仲介を通じて、遺物を第三国に預けることを検討すべき」と主張した。曹渓宗の浮石寺は大田地方裁判所に「有体動産占有移転の禁止仮処分申請」を要求し、裁判所は「観音寺側が仏像を正当に取得したということを訴訟で確認するまで、日本に仏像を返還してはならない」という決定を下した。浮石寺は「仏像の頭の部分が破損していることも(日本人による)略奪の証拠だ」と主張している。 2013年9月27日、韓国の龍震竜文化体育観光相が下村博文文部科学相との会談で「当然返還すべきもの」「韓国政府としては返還に向けた対応についてきちっとしていきたい」と述べたことが韓国で報道されると、親日派として批判され、また日本の返還要求は「韓日文化交流の足かせとなる日本の強引なやり方」であると中央日報は社説で批判し、釜山日報は下村文科相は「代表的な右翼政治家」として報道するなど、日本は「発言を捏造・拡大解釈して問題を大きくした」などとして批判された。 2015年7月、韓国の検察は、仏像2体のうち銅造如来立像を日本側に返還することを発表。銅造如来立像は同年7月17日返却された。 2016年7月5日、浮石寺は「日本では、韓国が盗んだ物を返していないと言われているが、そうではない。盗んだ人は逮捕され、処罰された。それで窃盗事件は終わった。」と事件の解決を宣言。2017年1月には「(この窃盗事件が)日本に不法流出したと推定される7万点あまりの文化財を取り戻す出発点になることを期待する」と話している。
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