安全性とリスク
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/30 02:41 UTC 版)
魚介類は、成人期以降の主な食物アレルギーの原因に入っており、そのうち特定原材料として表示が定められた7品目には「えび」「かに」が入っている。 魚介類は上述のように、健康に役立つ様々な成分が含まれていることが栄養学的にも医学的にも明らかになっている。だが、数多ある食物の中で健康被害へのリスクが最も高いのも魚介類である。魚介類を汚染している有害な要素は大まかに分けると3つになる。 工業毒 生物毒 病原性微生物・寄生虫 工業毒 1960年代~1970年代には、工業廃水によって魚介類が汚染される公害が各地で起きた。工場から海や川に排出された工業廃水に含まれるメチル水銀が蓄積された魚介類を人が摂取したことにより中枢神経(≒脳)が侵され深刻な障害が発生したのが水俣病である。最近は魚介類(広義には水産物)に含まれるダイオキシン類や水銀(メチル水銀)が問題になっており、妊婦に対して、魚介類の摂取量や回数を制限するようにとの勧告をしている。最近では農林水産省は魚介類の体中ダイオキシン類濃度を発表している。また、地中海のマグロの体中ダイオキシン類濃度が高いので健康影響が懸念されている。マグロなど食物連鎖の上位に位置する大型の魚には水銀が累積されており(=生物濃縮)、胎児に影響があるとして厚生労働省が(妊娠中や妊娠予定の女性に対しては)魚介類の摂取量や回数を制限するようにとの勧告をしている。 生物毒 貝の一部に「貝毒」と言って毒素を持つ藻類の毒を蓄積するものがある。 フグは一般に内臓にテトロドトキシンを持っている。ハタなどの貝を餌とする魚を食べた時、貝毒に当たる場合がある。 病原性微生物・寄生虫 魚介類に含まれる細菌は冷蔵庫の温度では活動を抑えることができないため、食肉に比べ劣化しやすく食中毒のリスクが高い。例えば、サバ属の魚は冷蔵不十分な状態にあるとヒスタミン産生菌が増殖しヒスタミン中毒を起こす場合がある。貝類はその食生から細菌やウイルスを吸着しやすく、コレラや腸チフスの感染源となる場合がある。 魚介類を宿主とする寄生虫で人体に有害なものはアニサキスやサナダムシなど50種以上存在する。寄生虫は加熱や冷凍に弱いため、60℃以上の加熱調理するか、-35℃で15時間もしくは-27℃で7日間冷凍すれば完全に死滅する。同様の加熱調理で細菌も死滅させることができるが、ヒスタミン中毒のように調理以前に細菌が出した化学物質自体は加熱調理では除けない場合もある。 他 なお、魚介類に限らず全ての食品は、あまりに火であぶりすぎて炭のようにするなどすると発がん性物質が発生することがあるが、これは魚介類に限ったことではない。
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