夕張支線の廃止
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JR北海道社長の島田修は、2016年(平成28年)7月29日に開かれた記者会見にて、厳しい経営状況と北海道で急速に進行する人口の減少を理由に、鉄道事業を抜本的に見直すため、同年秋までに「JR単独では維持困難な線区」を公表し、地元自治体との協議に入りたい旨を正式に表明した。この会見の中で具体的な路線名こそ公表されなかったものの、輸送密度が低い石勝線の夕張支線(新夕張駅 - 夕張駅間)も対象になると考えられていた。 2016年8月8日、夕張市市長鈴木直道がJR北海道本社で島田社長と会談し、「交通網見直しへの協力」「地元の求めに応じた無償譲渡などJR所有施設の有効活用」「JR社員の市への派遣」の3点を条件に、夕張支線の廃止を自ら提案するとともに、代替となる交通政策への協力を要請した。この提案を踏まえてJR北海道社内で検討が行われた結果、同年8月17日に島田社長が鈴木市長との会談で前述の3条件について全面協力することを約束し、新夕張駅 - 夕張駅間の鉄道事業廃止を正式に申し入れた。同年9月12日付で、JR北海道に夕張市内の交通体系の見直しなどに協力するためのプロジェクトチームが設置され、課長級の社員1名を夕張市に派遣することが決定した。 なお、廃止時期について島田社長は「今後の協議を踏まえて別途提案する」としたが、鈴木市長は会談後、「最短では2019年3月のダイヤ改正時にも廃止になる」との見通しを示した。夕張市は、南清水沢地区に都市機能を集約し、2019年秋までに児童館などを併設する「拠点複合施設」を設置する方針を示した。この施設にはバスなど交通拠点の役割を持たせる構想があり、完成次第、夕張支線は廃止されると報道された。 2018年(平成30年)3月23日、夕張市とJR北海道は夕張支線(新夕張駅 - 夕張駅間)16.1 kmの鉄道事業廃止について、 鉄道事業廃止日を2019年(平成31年)4月1日とすること JR北海道は夕張市で持続可能な交通体系を再構築するための費用として7億5000万円を拠出すること JR北海道は夕張市が南清水沢地区に整備を進めている拠点複合施設に必要となる用地を一部譲渡すること で最終的な合意に至ったと発表した。 同年3月26日、JR北海道は国土交通大臣に夕張支線(新夕張駅 - 夕張駅間)の鉄道事業廃止届を提出し、2019年4月1日に廃止された。夕張支線の廃止により、夕張市内の鉄道駅は、新夕張駅と滝ノ上駅の2駅を残すのみとなった。 路線廃止後、すぐに踏切の撤去が始まり、2019年(令和元年)8月にほぼ完了した。また、市道への落雪を防止するため、同年12月に1ヶ所の橋梁の一部が撤去された。それ以外の設備はそのまま残され、撤去の予定や線路跡地の活用法は未定である。
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