基本的な乗務内容
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/01 03:23 UTC 版)
販売員はまず所定の駅で販売品が積み込まれたワゴンを列車内に持ち込むか、車内販売の材料を車内に持ち込み、車内に格納されているワゴンに積み込む(新幹線の場合に多い)。新幹線や特急列車には販売員の車内販売業務の拠点となる部屋が設けられていることが多い。この部屋を車販準備室(しゃはんじゅんびしつ)という。以前は食堂車の厨房を拠点としていたが(当時は弁当やサンドイッチなども食堂車で調製していた)、食堂車が廃止されたためこのような部屋が設けられるようになった。車販準備室には簡単な作業を行うための空間や、飲料の保温用ポット・保冷用冷蔵庫・アイスクリーム用冷凍庫などが備えられているのが通常であるが、車両によっては、通常車掌が使用する乗務員室(業務用控室)をそのまま利用し、このような設備がない場合もある。 発車後、車掌による案内放送の後に車内販売の案内を行い、車内を巡回する。列車の運行中に車販準備室に出入りしつつ何度か巡回し、終点近くになると案内放送で営業終了の旨を放送し、車販準備室で後片付けや集計などを行い、車内販売の乗務スケジュールに定められた駅で下車する。 列車内の巡回は、販売員が販売品を積んだワゴンを押して移動する、ワゴンサービスが一般的だが、2階建て車両でワゴンによる移動が困難な場合や販売品の量が少ない場合には、販売品を入れたカゴなどの容器を手で携えて巡回する。またE4系「Max」の場合、デッキ付近に車内販売ワゴン用エレベーターがあり、これでワゴンを1階⇔2階に運んでいる。 車内販売のある列車を運行する鉄道事業者は車内販売専門の子会社を持っていることが多く、販売員はその子会社に所属しているのが普通であるが、正規従業員ではなく派遣・契約やアルバイトといった非正規雇用で採用しているケースも少なくない。また、駅弁屋などの業者が特定の列車を担当することがあり、自社の商品(駅弁など)の販売に従事する。なお、食堂車を営業している列車においては、車内売員も食堂車のクルーの一員として扱われ、食堂車の接客と車内販売を兼務するケースもある。 販売員は女性が多いが、男性の販売員もいる。 JR時刻表では、車内販売が乗務する新幹線には記号(○印)をつけている。東海道・山陽新幹線では、2003年9月30日までは旧国鉄時代から食堂車・ビュフェがあった時代の名残で通し乗務を行っていたが、現在は新大阪駅で全て交代している。一方、2015年3月14日に開業した北陸新幹線においては、全区間通しでJR東日本の関連会社が車内販売を担当している。なお、ともに2019年3月15日限りで車内販売を廃止した九州新幹線(2011年3月12日全線開業)と北海道新幹線(2016年3月26日開業)においては、九州新幹線ではかつて実施していた車内販売は直通運転をしている山陽新幹線との境界駅である博多駅で全て交代していたが、北海道新幹線では北陸新幹線同様、JR東日本の関連会社が通しで車内販売を担当していた。
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