地域としての流通
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 05:17 UTC 版)
「アメリカ合衆国ドル」の記事における「地域としての流通」の解説
自国通貨を放棄して代わりにUSドルを使用すること、すなわちUSドルによる通貨代替(英語版)を「ドル化政策」(ドラリゼーション、英: dollarization)と呼ぶ。ドル化を行う理由には様々なものがあり、アメリカの影響力が強く建国当初から独自通貨を持たないパナマのような国もある。また、インフレーションなどの自国における経済混乱に終止符を打つ最終手段としてそれまで発行されていた自国通貨の発行を停止し、世界で最も多く流通している通貨であるアメリカ・ドルを導入することで強引にインフレを終息させることもあり、特に2000年代以降、エクアドル・エルサルバドル・ジンバブエがこの政策を取って自国通貨を廃止した。こうしたドル化には経済混乱の収束のほか、特に小国において過大な負担となりがちな通貨発行に対するコストを削減することができるメリットがあるものの、通貨発行益を失ううえ理論上中央銀行が不要となり、独自の金融政策が不可能となるデメリットがある。 アメリカ合衆国ドル(USドル)を公に通貨として利用するアメリカ合衆国(本土)以外の地域 アメリカ合衆国の支配地域グアム、北マリアナ諸島、プエルトリコなどの州やDCに属さないアメリカの領土 アメリカとの自由連合盟約国:ミクロネシア連邦、マーシャル諸島、パラオ 上記以外の地域エクアドル:2000年、スクレからUSドルに切り替えた。 エルサルバドル:2001年1月より、1USドル=8.75サルバドール・コロンに固定され、USドルも合法的に流通している。 パナマ:常に1USドル=1バルボアに固定されている。バルボア紙幣は存在せず、流通している紙幣は米ドルのみである。硬貨はパナマ発行のセンテシモ(=1/100バルボア。センタボ、セントとも呼ばれる)硬貨と米国発行のセント通貨が等価で併用されている。 東ティモール:独自の硬貨である、東ティモール・センターボ硬貨も発行されている。 ヴァージン諸島(イギリス領) タークス・カイコス諸島(イギリス領) イギリス領インド洋地域(イギリス領):UKポンドとあわせてUSドルも合法的に流通している。 BES諸島(オランダ領) ジンバブエ:ハイパーインフレーションに伴い、2009年以降自国通貨ジンバブエ・ドルの発行を停止、USドルや南アフリカ・ランドなど複数の通貨が公的に使用された。2019年6月のRTGSドル正式導入に伴い外貨の流通がいったん禁止されたが、再度のインフレーションにより、2020年3月より再びUSドルの流通を暫定的に認めている。 カンボジア:独自の通貨(リエル)があるが都市部では米ドルが優位に流通している。 香港ドルなどドルペッグ制を採用している国の通貨は、実質的に米ドルと固定相場が保たれているため、米ドル圏ともいえる。 北朝鮮の開城工業地区、金剛山では、その特殊性から、北朝鮮ウォン、韓国ウォンとも使えず、米ドルもしくはユーロ紙幣が流通している。 アメリカ占領下の沖縄では、当初B円という軍票が通貨として使用されていたが、1958年9月から1972年の沖縄返還まではUSドル(120B円=1ドル)が公式通貨であった。返還時に1ドルから305円とする交換が行われる。ただし、前年の1971年に実施された変動為替相場制への移行にともないドル下落が発生、この影響に対して1972年2月には通貨ストライキが発生するなど混乱がみられたため、1971年に確認されていた個人が保有するドル現金分については、日本国政府が損失補償し360円とされた。また、5月20日まではドルも併用が認められていた。
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