地上軍侵攻
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/26 10:10 UTC 版)
「レバノン侵攻 (2006年)」の記事における「地上軍侵攻」の解説
IDFは当初、空爆のみでヒズボラを殲滅できると考えていたが、ヒズボラはレバノン市民に紛れており、根拠地も住宅地の中にある上、攻撃のたびに移動する為、予想通りには弱体化せず、かえってイスラエル人がロケット攻撃で死傷する事態となった。このため、地上軍による直接戦闘により、ヒズボラを壊滅させることを決断した。 7月17日、イスラエル特殊部隊が越境して進軍、ヒズボラと戦闘して帰還した。7月22日には地上軍本隊が越境、ヒズボラ支配下にあった南部の2村を占領した。ヒズボラは国境沿いの村落に地下陣地を建設して守りを固めており、イスラエル国防軍はこれらの陣地を事前に探知できていなかった。侵攻の先頭に立ったメルカバ戦車や装甲兵員輸送車は、ヒズボラ側の対戦車ミサイルで大きな損害を受け、イスラエル国防軍の侵攻は遅々として進まなかった。予想外の展開にイスラエルは予備役の動員を拡大し戦力を増強して対応した。目標はリタニ川以南のレバノン領土の占領とヒズボラ戦力の撃滅とされた。 7月26日、イスラエルが攻撃目標を拡大したことから、国連レバノン暫定駐留軍(UNIFIL)への被害が増え始める。レバノン南部での停戦監視に当たっていたUNIFILの施設に爆弾が直撃し、中国、フィンランド、オーストラリア、カナダの監視要員ら4人が死亡。国連暫定軍は、25日午後にも施設付近への爆撃が14回あり、4人の捜索活動を行っている間にも空爆が続いたとしている。 国連事務総長のコフィー・アナンは「イスラエルの首相が国連施設への砲爆撃を行わないと保証したにもかかわらず事件が起きてショックを受けている」と声明を発表し、南部レバノンの国連軍司令官がIDF側と繰り返し接触し、事態を防ごうとしていた矢先だったと明らかにした。 それに対し、イスラエル側は「意図的な攻撃ではない」として、アヤロン駐米国連大使が遺憾の意を表明し、国連施設がヒズボラの戦闘に巻き込まれた事を認めた。イスラエルの軍関係者は、ヒズボラの部隊がIDFの反撃を避けるため施設から数十メートルの地点でロケット砲を発射したと主張し、国連職員に施設からの退避を求めたと述べた。この件に関して中国政府は激しく抗議し、国連安保理で非難決議を提案したが、アメリカが難色を示し、暗に攻撃を批判する議長声明にとどまった。 7月29日には、全土を空爆する中で、南部を占領していた地上軍が任務完了として引き上げた。 またこの日、アメリカのライス国務長官はレバノンとイスラエルを歴訪して停戦の仲介を提案した。両国政府は好意的に反応したものの、ヒズボラは反発の姿勢を見せた。 また、ヒズボラは射程100kmの新ミサイルを攻撃に使用、ハイファ近郊に着弾し、攻撃目標を拡大するとした。
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