国際疾病分類とは? わかりやすく解説

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こくさい‐しっぺいぶんるい【国際疾病分類】

読み方:こくさいしっぺいぶんるい

《「疾病及び関連保健問題の国際統計分類」の略称》⇒アイ‐シー‐ディーICD


国際疾病分類

【英】:ICD, International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems

正式には、International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems疾病及び関連保健問題の国際統計分類の事である。
異なる国や地域から、異な時点集計され死亡疾病データ体系的な記録分析解釈及び比較を行うため、世界保健機関憲章に基づき世界保健機関(WHO)が作成した分類である。起源としては、1950年代死因(Cause of Mortality)のリストとしてはじめられたものであり、1893年国際統計協会(the International Statistical Institute)が使用するようになり、約10年ごとに改定が行われちた。死因だけではなく疾病原因Cause of Morbidity)を含む第6版出版され1948年に、WHOが責任機関として引き継ぐこととなった
最新分類は、ICD第10回目の修正版として、1990年第43回世界保健総会において採択されたものであり、ICD-10呼ばれている。現在、我が国では、一部改正勧告であるICD-10(2003)に準拠した疾病傷害及び死因分類」を作成し統計法に基づく統計調査使用されるほか、医学的分類として医療機関における診療録管理等活用されている。(仲佐保

参考URL
WHOホームページ http://www.who.int/classifications/icd/en/
厚生労働省統計局ホームページ http://www.mhlw.go.jp/toukei/sippei/

疾病及び関連保健問題の国際統計分類

(国際疾病分類 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/28 00:32 UTC 版)

WHO

疾病及び関連保健問題の国際統計分類(しっぺいおよびかんれんほけんもんだいのこくさいとうけいぶんるい、略称:国際疾病分類英語: International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems、英語略称: International Classification of Diseases、ICD)は、世界保健機関(WHO)が死因疾病の国際的な統計基準として公表している分類である。死因や疾病の統計などに関する情報の国際的な比較や、医療機関における診療記録の管理などに活用されている[1]

現在の最新版は、2019年5月28日に世界保健総会で採択された第11版であり[2]ICD-11として知られている。日本では厚生労働省の「社会保障審議会統計分科会疾病、傷害及び死因分類部会[3]」において、和訳と日本での適用について検討がされており[4][5]、 2024年3月時点でも作業中である[6]

なお、前版のICD-10については、分類はアルファベットと数字により符号化されており、最初のアルファベットが全21章から成る大分類(Uを除く)、続く数字が中分類を表している。また、ICD-10は後に2007年版として改定が行なわれている[7]。最新版は2016年改訂版であるが[8]、2022年9月年現在厚生労働省のウェブサイトでは2013年改訂版までが公開されている[9]

沿革

ICDの原型は、1853年にブリュッセルで開催された第一回国際統計会議において、ファーとデスピン(Marc d'Espine)が死因の国際分類作成を委託されたことにはじまる。1860年にはフローレンス・ナイチンゲールがロンドンでの国際統計会議において、傷病の統計調査を提案した。1893年には統計学者のジャック・ベルティヨンがシカゴで開催された国際統計会議で「死因に関するベルティヨン分類」を発表した。この分類は多くの国で利用され、1898年からはアメリカ公共保健協会(American Public Health Association、APHA)もこの分類の利用を提唱しはじめ、1900年に国際会議が開催され、第1回国際死因分類が制定された。

以降、9版まではほぼ10年ごとに改訂がされている。10版までは採択まで15年かかっている。第7版からは死因だけでなく疾病の分類が加えられ、医療機関における医療記録の管理に使用されるようになった。「基本分類表」は3年ごとの「大改正」と、毎年行われる「小改正」に分けて改正され、基本分類表に影響を与えない「索引」は毎年改正される。これまで第6回、第8回、第10回に大きな内容の変更を伴う改訂が行われている。

ICD-10

各章の一覧を示す。

ICDコード 分類見出し
1 A00 - B99 感染症・寄生虫症
2 C00 - D48 新生物
3 D50 - D89 血液・造血器疾患および免疫機能障害
4 E00 - E90 内分泌・栄養・代謝疾患
5 F00 - F99 精神および行動の障害
6 G00 - G99 神経系の疾患
7 H00 - H59 眼および付属器の疾患
8 H60 - H95 耳および乳様突起の疾患
9 I00 - I99 循環器系疾患
10 J00 - J99 呼吸器系疾患
11 K00 - K93 消化器系疾患
12 L00 - L99 皮膚・皮下組織疾患
13 M00 - M99 筋骨格系・結合組織疾患
14 N00 - N99 腎尿路生殖器系疾患
15 O00 - O99 妊娠・分娩・産褥
16 P00 - P96 周産期疾患
17 Q00 - Q99 先天奇形、変形および染色体異常
18 R00 - R99 症状・徴候・異常臨床所見・異常検査所見で他に分類されないもの
19 S00 - T98 損傷、中毒およびその他の外因の影響
20 V01 - Y98 傷病および死亡の外因
21 Z00 - Z99 健康状態に影響を及ぼす要因および保健サービスの利用
22 U00 - U99 特殊目的用コード

利用

日本語圏でのICD-10対応の分類方式は財団法人医療情報システム開発センター(MEDIS-DC)が開発する「標準病名マスター」で、2013年版の大分類・中分類・小分類の約7万コードの全てに対応している[10][11]

精神医学の領域においては、ICD-10はアメリカ精神医学会 (APA) の定めた『精神障害の診断と統計マニュアル』第4版 (DSM-IV) と並び、代表的な診断基準のひとつとして使用される。

なお、新生物 (C00 - D48) については、組織型の分類である「国際疾病分類 腫瘍学 ICD-O」が併用される。

省庁等における利用

厚生労働省は、統計法に基づく患者調査にICD-10分類を用いてはいるが、部分的には中分類項目のみの統計となっている[12][1]

診療報酬明細書に記載される疾病名は社会保険診療報酬支払基金が管理する傷病名マスターに基づくもので、ICD-10との連携が図られてはいるが2018年6月の時点では25,695項目であり[13][14]、また厚労省にはICD-10には対応していない120項目のみの疾病コード表がある[15]

また総務省統計委員会は2014年11月、別の「疾病、傷害及び死因の統計分類」を統計基準として採用した。高市早苗総務大臣の諮問資料によれば「疾病分類表」はICD-10からすれば主に中分類のみに対応するもので、また特に「死因分類表」の項目は僅か133項目で過労死地震等の原因は調査されず、ICD-10の約900項目の足元にも及ばないが、統計委員会委員長西村清彦に受諾され統計法第28条の「統計基準」として採用された[16]。統計法は、各省庁の長が基幹統計調査を行おうとするときは、使用する統計基準については総務大臣の承認を受けなければならないとしている。

脚注

  1. ^ a b 「疾病、傷害及び死因の統計分類」 - 厚生労働省、2014年7月閲覧
  2. ^ 国際疾病分類 第 11 回改訂”. www.mhlw.go.jp. 2019年8月21日閲覧。
  3. ^ 社会保障審議会 (統計分科会疾病、傷害及び死因分類部会)”. www.mhlw.go.jp. 2019年8月21日閲覧。
  4. ^ ICD-11 の日本への適用について(案)”. 厚生労働省. 2019年8月21日閲覧。
  5. ^ 国際疾病分類の第11回改訂版(ICD-11)が公表されました”. www.mhlw.go.jp. 2019年8月21日閲覧。
  6. ^ ICD-11「精神、行動又は神経発達の疾患」および関連する疾患の「臨床記述と診断要件(CDDR)」の発表と英語版CDDRダウンロードについてのお知らせ”. 公益社団法人 日本精神神経学会 (2024年3月6日). 2024年3月12日閲覧。
  7. ^ International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems (ICD), 10th Revision, Version for 2007”. 2009年6月22日閲覧。
  8. ^ International Classification of Diseases (ICD)” (英語). www.who.int. 2022年9月26日閲覧。
  9. ^ 「疾病、傷害及び死因の統計分類」|厚生労働省”. www.mhlw.go.jp. 2022年9月26日閲覧。
  10. ^ 標準病名ハンドブック 標準病名マスター(ver.4.00)。医療情報システム開発センター・社会保険研究所。
  11. ^ 参考資料5 レセプト病名(標準病名マスター)とは、厚生労働省。
  12. ^ 平成26年患者調査(上巻)総患者数,性・年齢階級 × 傷病小分類別」
  13. ^ 診療報酬情報提供サービス、厚生労働省保健局・社会保険診療報酬支払基金。
  14. ^ 日本医学会医学用語管理委員会大江和彦電子カルテ用標準病名マスターについての報告』。
  15. ^ 疾患コード表。厚生労働省。
  16. ^ 第81回統計委員会 - 第81回統計委員会配布資料”. www.soumu.go.jp. 2022年9月26日閲覧。

参考文献

関連項目

外部リンク

WHO公式サイト(英語)


国際疾病分類

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/24 10:20 UTC 版)

肉腫」の記事における「国際疾病分類」の解説

国際疾病分類の日本語訳ではSarcoma訳語として、肉腫当てており、非上皮組織発生母地とする悪性腫瘍意味する肉腫悪性腫瘍一種である。腫瘍は国際疾病分類のtumor日本語訳であり、「生体内において、その個体自身由来する細胞ありながら、その個体全体として調和破り時に他から何ら制御を受けることなく、又自らの規律従い過剰の発育をとげる組織をいう。」と定義されている。 新生物 (neoplasm) も腫瘍同義用いられており、良性悪性があり、悪性新生物は癌、癌腫及び肉腫意味する悪性新生物は、上皮細胞性の癌腫 (Carcinoma) 、間質細胞性の肉腫、その他(造血器由来白血病中皮由来中皮腫など)に分けられる

※この「国際疾病分類」の解説は、「肉腫」の解説の一部です。
「国際疾病分類」を含む「肉腫」の記事については、「肉腫」の概要を参照ください。


国際疾病分類

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/03 14:21 UTC 版)

癌腫」の記事における「国際疾病分類」の解説

国際疾病分類の日本語訳ではCarcinoma訳語として、癌腫当てており、上皮性悪腫瘍意味する。ただし、用語の語尾用いられる場合は単に「〜癌」とする。 癌腫悪性腫瘍一種である。腫瘍は国際疾病分類のtumor日本語訳であり、「生体内において、その個体自身由来する細胞ありながら、その個体全体として調和破り時に他から何ら制御を受けることなく、又自らの規律従い過剰の発育をとげる組織をいう。」と定義されている。 新生物neoplasm)も腫瘍同義用いられており、良性悪性があり、悪性新生物は癌、癌腫及び肉腫意味する悪性新生物は、上皮細胞性の癌腫間質細胞性の肉腫にくしゅSarcoma)、その他(造血器由来白血病中皮由来中皮腫など)に分けられる

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国際疾病分類

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/26 10:15 UTC 版)

悪性腫瘍」の記事における「国際疾病分類」の解説

国際疾病分類の日本語訳ではCancer訳語として、がん(癌)を当てており、悪性腫瘍一般意味する。 「がん」を意味するCancer」は、かに座Cancer)と同じ単語であり、乳癌腫瘍の脚のような広がり見せた ところから、「医学の父」と呼ばれるヒポクラテスが「の意味として「καρκίνος」(Carcinos)と名づけ、これをアウルス・コルネリウス・ケルススが「Cancer」とラテン語翻訳した広義Cancer悪性新生物Malignant Neoplasm)の総称であり、ひらがなで「がん」と表記するひらがなの「がん」は、「癌腫」や非上皮由来の「肉腫」(sarcoma)、白血病のような血液悪性腫瘍含めた広義的な意味で悪性腫瘍を表す言葉として使われており、「国立がん研究センター」、各都道府県における「〇〇がんセンター」と表記している。 広義Cancerは、狭義CancerにあたるCarcinoma癌腫)、Sarcoma肉腫)、その他(白血病悪性リンパ腫骨髄腫悪性中皮腫)に分けられる漢字の「癌」は、「岩」の異体字である「嵒」と、病垂との会意形声文字であり、本来は「乳がんの意味である。触診すると岩のようにこりこりしているからで、江戸時代の日本においては「岩」と書かれた文書もある。 なお、社会機構組織について「○○は△△のがんだ」「△△のガン細胞」と比喩表現使われることがある

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「国際疾病分類」を含む「悪性腫瘍」の記事については、「悪性腫瘍」の概要を参照ください。

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