回収システムの開発
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/12 16:55 UTC 版)
「フルトン回収システム」の記事における「回収システムの開発」の解説
フルトン回収システムの試みは1950年にCIAとアメリカ空軍によって始められた。発明家のフルトンは、信頼できる手法を開発するために、ゴム気球、ナイロンのロープ、10〜15ポンド(4.5~6.8kg)の重りを用いて、多数の引き上げ法を考案した。ルイス・デ・フロリス中将(CIAの技術開発の責任者でフルトンの息子)は、このシステムは軍で使用されるのが最良だと信じ、フルトンを海軍開発事務局(ONR)に接触させ、フルトンはそこの航空企画部門から開発の契約を得た。 その後の数年で、フルトンは回収システム用の機上と地上の装備を改良した。カリフォルニア州エル・セントロに拠点を置き、コロラド砂漠で海軍のP2Vを用いた多くの実験を行なった。実験で使用した編みナイロンのロープは4000ポンド(1800kg)まで耐えられた。 人形を用いた実験ののち、生きたブタ(神経系が人間に似ている)を用いて実験を行なった。ブタは空中で毎時125マイル(毎時200km)で回転し、負傷せずに機上まで上がったが、ブタは方向感覚を失っていた。 1958年までにフルトン回収システム(別名スカイフック)は完成した。地上装備は500フィート(150m)の高強度ナイロン編みロープが取り付けられたハーネス、ヘリウムの入れられた飛行船型の気球が含まれ、航空機から投下できる。 回収用の航空機は二本の中空の鉄製パイプでできた「角」が装備されている。これは長さ30フィート(9m)、機首から見て70度の角度がつけられている。航空機は425フィート(130m)にある、マイラー(BoPET、二軸延伸ポリエチレンテレフタラート)製の目印を目標にして、ロープに向かって飛ぶ。機首の「角」にロープが捕まると、気球は投棄されてばね仕掛けの機構(スカイアンカー)がロープを機体に固定・安定させる。この後、ロープは機上のクルーによって切断され、ウインチに取り付けられた後、人または貨物を引き上げる。引き上げ用ロープが誤って航空機のプロペラに引っかかることを防ぐため、偏向用のケーブルが機首から翼端までに設置されている。 S-2対潜哨戒機によるアメリカ海軍のテストののち、墜落したパイロット救出用に使用された。実戦でフルトン回収システムを装備したS-2がどの程度用いられたかは不明である
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