ゴム気球
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/08 02:17 UTC 版)
ゴム気球(ゴムききゅう、英: Weather balloonあるいはMeteorological balloon)とは気象観測などに用いられる球体のゴム製の気球である。気象観測用ゴム気球(きしょうかんそくようゴムききゅう)とも呼ばれる。ドイツの気象学者リヒャルト・アスマンによって1900年頃に開発された[1]。これは、それまでの皮や紙で作られた気象観測用気球と比べて以下の利点を持っている[2]。
- ^ 堤 之智. (2018). 気象学と気象予報の発達史 気球による高層気象観測. 丸善出版. ISBN 978-4-621-30335-1. OCLC 1061226259
- ^ “気象学と気象予報の発達史: リヒャルト・アスマン(その2)”. 気象学と気象予報の発達史 (2019年2月5日). 2020年10月8日閲覧。
- ^ 破裂時の直径は1.2m - 9mといわれている。
- ^ 一般にグラム数の多いものほど気球が高層まで到達しペイロード(観測機器など気球に搭載可能な重量)も大きくなる。概ね100g以下のものは目視で観測できる低層(高度1000 - 3000m程度)の気象観測、それ以上のものはレーウィンゾンデなど観測機器を搭載する高層気象観測の用途に使われる。
- ^ 『測風気球浮力表(水素ガス使用時)』「測風気球観測常用表」中央気象台編、中央気象台、1922年(21コマ)。 NDLJP:984931
- ^ 日本の気象庁では2007年に離島に水素ガス生成・定時の気球へのガス注入から観測装置の放球、観測装置から無線で送信される観測結果を受信する高層気象観測までを一手に行う無人観測システムが導入されて以降、高層気象観測を定時に定点観測を行う日本国内の測候所に逐次導入が進められており、人手が直接水素ガスの注入作業や観測装置の放球に携わる機会は減少しつつある。
- ^ 南極観測隊および気象観測船での観測ではヘリウムガスを使用している。
- ^ 現実にはゴム気球はいつも必ず規定高度まで上昇するとは限らず、ゴム膜の弱い部分の存在や天候による氷結など物理的な原因により亀裂が生じると規定高度の途中でも破裂し落下することがある。またゴム気球は破裂時に膜が木っ端みじんになるとは限らず、数個程度の膜のかたまりとして破裂することもあり、その破片の残骸がパラシュートのひもなどの装置に絡むとパラシュート非開傘の原因となることもある。日本の気象庁では近年の交通網の発達や都市部の拡大により落下したラジオゾンデについての通報が増加し、建造物や樹木等に引っ掛かり、撤去を要請されることもあることから、数値予報を応用したゾンデの飛翔予測情報システムを導入し、2004年4月からはゾンデの落下位置が主要空港とその周辺や大都市の市街地等に予測される場合に事故防止を優先的に考え、翌日以降に飛揚を延期することになっている。
- ^ 『ゾンデの飛翔予測情報システムの利用について』 「高層気象台彙報 第65号 2005年3月」、2005年(気象庁高層気象台のホームページで閲覧可能)
- ^ 『回収された落下ゾンデに関する調査』 「高層気象台彙報 第65号 2005年3月」、2005年(気象庁高層気象台のホームページで閲覧可能)
- ^ 大型のゴム気球は気球が大きいため風の影響を受けやすく屋外での荒天時の飛揚に向かないほか、浮揚ガスの注入量が多いと係留した気球のゴム膜が浮揚ガスの浮力に負けて破裂を引き起こすことがある。
- 1 ゴム気球とは
- 2 ゴム気球の概要
- 3 バルーンアートでの使用
- ゴム気球のページへのリンク