台上技術
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 06:14 UTC 版)
台上技術は卓球特有の技術であり、基本的に台上に収まる相手側のサービスをレシーブする場合やレシーブ側が短く返球した場合に使用する技術である。 台上技術に共通しているのは、レシーブ位置に合わせて利き手側の足を台の下に移動してから打球する点である。足の移動と打球を同時に行なう方法は、前に体重移動した分の余計な力が打球時に加わってネットミスやオーバーミスの原因となりやすいことから、ラリーで咄嗟に打球する場合を除いて基本的に推奨されていない。 また、ツッツキを使って相手側の甘いループドライブを誘発したり、チキータ等の台上強打で中陣ないし後陣での引き合いのラリーに持ち込んだりと戦術的な駆け引きもセットで考える必要がある。 ツッツキ 台上の短いボールに対して、カットよりもコンパクトなスイングで突くようにして打球する打法。台上から出ないやや長いボールに対して下回転を掛けて返すことが多い。ミスするリスクが少ないが、相手の3球目攻撃を受ける確率が高い。しかし、技術次第では強烈な下回転や横回転を入れたり、長短の変化をつけたりすることでミスを誘うこともできる。また、回転を掛けない無回転系のツッツキのことをナックルと呼ぶ場合がある。 ストップ 主に相手の短い下回転系のボールに対し、バウンド直後の打球を捉えて相手コートに2バウンド以上するように小さく返す打法。台上の短いサーブに対するレシーブなどで主に使われる。低いストップに対しては物理的にドライブが打てないため、防御技術として有効。しかし浮いてしまうと相手のチャンスボールとなる。上級者のレシーブになると短い上回転系のボールに対してもストップで返したり、強烈な下回転を掛けることが可能である。ストップをストップで返すことをダブルストップという。また、下がった相手に対してネット際に小さく落とすようなストップを繰り出すことを、ドロップショットと呼ぶ場合もある。 フリック 相手のショートサービスまたは台上の球に対して、台上で前進回転を与えて払うように返球する打法のこと。カウンターされた際のリスクが高いので、テイクバック無しの非常にコンパクトな打法である。技術が向上すれば台上強打ともいえるスピードのある打球を打つことも可能で、レシーブから直接得点を狙うこともできる。 プッシュ 押し出すように打つ打法で、主にペンホルダーのバック側の攻撃に使う。シェークハンドのバックハンドに比べて威力を出しにくいが、やり方によっては同等以上に打ち合うこともできる。 台上ドライブ(台上フォアハンドドライブ) 台上から出ない打球に対して当て擦りで打球する方法。フォアハンドフリックとの大きな違いは、打球時にテイクバックが必要でスイングが大きい点である。元々は、中国で開発された粘着系ラバーの特性を活かすための台上技術であり、使用する用具の制約を受けるという短所がある。 チキータ 場合によりチキータ・レシーブなどという場合もある。ピーター・コルベル(チェコ)が発案した打法で、バックハンドの横回転系のフリックのことを言う。この打法を応用したドライブ打法もある。基本的にシェークハンドの選手が使用するが、ペンでも裏面打法を使えば可能である。チキータバナナ(バナナのブランド名の一つ)のようなカーブを描くことから、このように呼ばれるようになった。また、チキータのスイングから打球する逆横回転系のチキータは「逆チキータ」と呼ばれており打法は様々であるが、加藤美優が多用する逆チキータは「ミユータ」、シモン・ゴジが多用する逆チキータは「ゴジータ」と呼ばれている。 台上バックハンドドライブ(台上BD) 台上ドライブのバックハンドバージョン。台上ドライブと比べてチキータ同様に速い打球点でボールを捉えやすく、ボールの横を捉えるチキータに対して台上BDはボールの上を捉えるため、スピードが出て一発で抜き去ることが可能である。また、スイングがコンパクトなので台上では弾み過ぎない上に用具の制約を受けにくいというメリットがある。しかし、ボールの上を捉えるということは相手のサービスの回転(特に下回転)の影響を受けやすいということであり、ある程度のスイングスピードに加えて、フリーハンドや体の動かし方や打球時の体重移動が必要である。中国の張継科が多用し世界選手権で2連覇を飾ったことから、近年世界中のトップ選手のみならずジュニアや小中学生クラスにも広く流行している。
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