古いインフレーションとは? わかりやすく解説

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古いインフレーション

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/08 15:26 UTC 版)

宇宙のインフレーション」の記事における「古いインフレーション」の解説

素粒子大統一理論における一次相転移基づいたインフレーションモデルは、佐藤グースによって独立提唱されたが、アレクセイ・スタロビンスキー重力への量子補正によって宇宙初期特異点指数関数的に膨張するド・ジッター相に置き換えうることを議論し真空偏極効果に基づくインフレーションモデルを提唱した1980年10月Demosthenes Kazanasは指数関数的膨張粒子地平面除去することができるであろうこと、そしておそらく地平線問題解決することを示唆した1981年佐藤勝彦指数関数的膨張ドメインウォール英語版)を除去しうることを示唆した。さらに、Martin B. Einhornおよび佐藤共著で、グース先駆けて指数関数的宇宙膨張論文発表し大統一理論磁気単極子多量に現れる問題解決しうることを示した。彼らはそのようなモデル宇宙定数ファインチューニングを必要とすることだけでなく、非常に粒度の細かい宇宙 (granular universe)、例えば、泡の壁の衝突から生じ大きな密度変動導きやすいことを結論付けた大統一理論一次相転移基づいた佐藤グースモデルでは、誕生直後宇宙偽の真空呼ばれる状態にあったとされる偽の真空の状態にある宇宙厳密にド・ジッター宇宙膨張則に従う。このモデルでは、インフレーション終わった領域真の真空の「泡」の核生成として宇宙中に作られる一方残り領域ではインフレーションが続く。このような同士衝突すると、泡の壁が持つ莫大なエネルギー粒子変換され、これがビッグバン初期宇宙存在する高温放射物質粒子となる。この過程再加熱呼ばれるインフレーション続いている巨大な背景領域では我々の宇宙同様の新し宇宙絶え生成され続ける。ここで、一般に重力相互作用エネルギーは負であるため、正のエネルギーを持つ宇宙新しく生成されてもエネルギー保存則破られないこのようにして熱力学第一法則エネルギー保存則)と熱力学第二法則時間の矢問題)の両方がうまく回避される。グースはこのことからインフレーション宇宙を「究極無料ランチ」であると形容している。 このモデルでは、初期宇宙冷却するにつれて宇宙高エネルギー密度偽の真空(これは宇宙定数酷似している)の内に捉えられたとする最初期の宇宙冷却されるにつれ、宇宙準安定状態過冷却されている)の内に捕捉され量子トンネル経由して形成の過程通ってのみ崩壊しうる。真の真空の泡は自発的に偽の真空の海の中で形成しすぐさま光速膨張始める。グースは、このモデル適正に再加熱しないため問題があることを認識した。泡が核生成したとき、それらはどんな放射生成しない放射は泡の壁の間衝突内でのみ生成される。しかし、インフレーション初期条件問題解決するのに十分長く存続するなら、泡の間の衝突は非常に稀になる。どんな因果的宇宙区画でも、ただ一つの泡が核生成する。 しかし、この一次相転移モデルは以下の点でうまくいかない。すなわち、標準ビッグバン理論問題解決できるほど十分にインフレーション進行することを保証するためには、真の真空核生成率は非常に小さくなければならないが、核生成率が小さいと泡同士衝突起こらず再加熱過程働かないことになる。なぜなら泡の間にある(インフレーション依然として進行している)空間非常に速く膨張するため、泡同士の距離は泡自身成長速度よりも速く広がってしまうからである。よって、偽の真空崩壊によって放出されるエネルギー全て泡の壁の運動エネルギーとして使われる一方高温ビッグバン必要なエネルギーが泡の衝突によって全く供給されず、いつまで経って火の玉宇宙時代移行しないことになる。この問題は「華麗な退場問題 (graceful exit problem)」と呼ばれ一次相転移モデルは現在では古いインフレーション (old inflation) と呼ばれる

※この「古いインフレーション」の解説は、「宇宙のインフレーション」の解説の一部です。
「古いインフレーション」を含む「宇宙のインフレーション」の記事については、「宇宙のインフレーション」の概要を参照ください。

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