大統一理論とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > デジタル大辞泉 > 大統一理論の意味・解説 

大統一理論

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/29 17:06 UTC 版)

大統一理論(だいとういつりろん、英語: grand unified theory, GUT)とは、電磁相互作用弱い相互作用強い相互作用を統一する理論である。幾つかのモデルが作られているが、未完成の理論である。

電磁相互作用と弱い相互作用の統一は電弱統一理論(ワインバーグ=サラム理論)としてシェルドン・グラショウスティーヴン・ワインバーグアブドゥ・サラムにより完成されている。

概要

物理学の未解決問題
標準模型の3つの力を統一させることはできるか。どの対称性によって統一できるか。その統一理論によってフェルミオンの世代数と質量を説明できるか。

「自然界は四つの基本的な力(電磁相互作用弱い相互作用強い相互作用重力)で表される」とする。

宇宙の始まりに存在したのは唯一つのだけで、その後これらの四つに分かれた」という考え方から、これら四つの力を一つの形で表して統一しようとする理論がいくつかあるが、大統一理論(GUT)はそのひとつである。

GUTはこれらの力のうち、重力を除いた前者三つを一つの形に統一しようとしている。

大統一理論は重力については考えていない。重力までも統一する理論のことを超大統一理論ないし万物の理論という。

GUTの歴史

この理論の歴史を源流まで遡るならば、マクスウェルによる場の方程式による電磁場理論によって電気と磁気が統一されたことから始まる、と言ってもよい。アインシュタイン一般相対性理論に大きな影響を及ぼし、「統一場理論」への夢につながった。その後電磁相互作用と弱い相互作用が統一された。その後作られたこの大統一理論は、三つめの「強い相互作用」も統一しようとする理論である。

提唱年と提唱者

歴史的に言うと、最初のまぎれもない大統一理論が提唱されたのは1974年のことで、ハワード・ジョージシェルドン・グラショーによるものであった。

ゲージ変換」という、ある式にある操作を施しても対称性(ゲージ対称性)が保たれるという数学的手法を使い、知られている性質を説明し未知の性質を予言し、それを検証することによって理論を確認しようとしている。

近年の動向

標準理論では説明できない現象を説明しようとして作られたこの理論は、ビッグバン理論インフレーション宇宙論)の基礎ともなっているため、様々な検証がおこなわれている。カミオカンデの実験により最初の大統一理論は否定され、超対称性という概念を加えた新しい大統一理論を検証の対象としている。ひとつは、([いつ?]..年から)東京大学森俊則教授の率いる日本・スイス・イタリア・ロシア・米国の国際チームがスイス・ポールシェラー研究所で行っているのが、ミュー粒子が崩壊して電子とガンマ線になること(μ→eγ(ミューイーガンマ)崩壊)を観測する実験である。標準理論では起こらないが、大統一理論では数千億から数兆分の一の確率で起こることが予想されていた。2011年9月に発表された5年間の5千億個の実験による中間報告[1]では発見できなかったため、実験を2年間継続し10兆個のミュー粒子で検証することになった。2013年までスイスで行われたMEG実験では2.4兆個観測では崩壊が見つからなかった。なお研究は継続中であり、約10倍の実験感度を改善し、3年間で25兆個を観測するMEGⅡ実験の2021年開始を目指している[2][3]

GUTのモデル

標準模型のフェルミオンと表現
粒子名 記号 表現
クォーク Q (3, 2)+1/6
上系列反クォーク U (3*, 1)-2/3
下系列反クォーク D (3*, 1)+1/3
レプトン L (1, 2)-1/2
反荷電レプトン E (1, 1)+1
反ニュートリノ[4] N (1, 1)0

現在、一定の成功をおさめている標準模型は、ゲージ群


大統一理論

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/27 02:19 UTC 版)

標準模型」の記事における「大統一理論」の解説

「大統一理論」を参照 標準模型記述する3つの力のうち、強い力は、電磁気力弱い力とは別のゲージ対称性により記述されている。このため3つの力を統一的に理解することは難しい。しかし、電磁気力記述するU(1)ゲージ対称性S U ( 2 ) L × U ( 1 ) Y {\displaystyle SU(2)_{L}\times U(1)_{Y}} ゲージ対称性ヒッグス機構により自発的に破れた結果あらわれたのであるように、標準模型ゲージ対称性 S U ( 3 ) C × S U ( 2 ) L × U ( 1 ) Y {\displaystyle SU(3)_{C}\times SU(2)_{L}\times U(1)_{Y}} もより大きなゲージ対称性自発的に破れた結果あらわれたのである可能性指摘されている。この可能性基づいた理論は大統一理論と呼ばれている。 S U ( 3 ) C × S U ( 2 ) L × U ( 1 ) Y {\displaystyle SU(3)_{C}\times SU(2)_{L}\times U(1)_{Y}} のおおもととなった大統一理論のゲージ対称性はいくつ候補があるが、SU(5)、SO(10)、 E 6 {\displaystyle E_{6}} などが提案されている。強い力電弱相互作用統一的に記述する大統一理論では、クォークレプトン変換するような相互作用可能になる具体的な現象としては陽子崩壊予言されるカミオカンデなどの実験陽子崩壊実証するための実験続けられているが、2014年現在実験的証拠得られていない

※この「大統一理論」の解説は、「標準模型」の解説の一部です。
「大統一理論」を含む「標準模型」の記事については、「標準模型」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「大統一理論」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「大統一理論」の関連用語

大統一理論のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



大統一理論のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの大統一理論 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの標準模型 (改訂履歴)、九後汰一郎 (改訂履歴)、標準模型を超える物理 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS