双方の問題点
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/13 13:53 UTC 版)
こうした議論などにおいて双方の問題点も浮き彫りになった。国土交通省については八代市の萩原堤防について当初「フロンティア堤防建設事業」として堤防の補強を事業計画に据えていたところ、突然事業を中止し、その理由についても明確な説明がされていない。また川辺川漁業権収用申請における漁民からの同意書提出に際して、既に死亡した人間などの氏名記載や捺印を行うといった捏造を行っていたことが発覚。激しい非難を浴びた。蜂の巣城紛争に際し運動を主導した室原知幸は「公共事業は法に叶い、理に叶い、情に叶わなければならない」と公共事業の在り方について建設省に問い、その反省として水特法などが施行されたがこれら一連の事件はこの思想を根本から否定する行為であった。こうした行政側の強引な姿勢も、川辺川ダム問題を一層複雑にした要因であると各方面から指摘されている。ダムによる「水害被害増幅」に対する住民への不信については、一般へのダム事業への啓蒙が不足していたことの表れでもある。一部からは電源開発が事業をそのまま行っていれば、川辺川ダムは既に完成していたという見方すらある。 一方で反対派の問題点もある。住民討論集会において治水について問題点を指摘しているにもかかわらず明確なデータを呈示しなかったことを司会者から指摘されたところ、感情的に反論して傍聴者の失笑を買っている。また、森林整備による治水の有効性については賛成派・反対派の合意によって、2004年(平成16年)から2005年(平成17年)にかけて中立的観点で共同検討した結果、国土交通省の主張どおり人工林・自生林・幼齢林の何れの条件でも保水力の差は見られず、森林保水力には限界があることが証明されたがこれを認めず、従来の主張を繰り返している。また、遊水地建設の費用対効果や補償の具体性、ダム撤去に伴う発電能力の補填が太陽光発電や風力発電で対応可能かどうか、環境への長期的影響の検証も行っていない[要出典]。
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