勲章と年金
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/23 05:38 UTC 版)
勲等年金勲等上限下限勲一等840円 740円 勲二等600円 500円 勲三等360円 260円 勲四等180円 135円 勲五等125円 115円 勲六等100円 85円 勲七等75円 60円 勲八等50円 40円 ※1 : 廃止時の給額表による※2 : この他、勲一等旭日桐花大綬章の受章者は、1500円の年金が定められていた。 金鵄勲章年金功級定額功一級1500円 功二級1000円 功三級700円 功四級500円 功五級350円 功六級250円 功七級150円 ※1 : 廃止時の額 明治政府は、1877年(明治10年)7月25日、勲等年金令(旭日章年金)を制定して、叙された勲等に従い終身年金を支給することとした。1894年(明治27年)には、金鵄勲章の受章者に対する年金支給を定める金鵄勲章年金令(明治27年勅令第173号)を公布した。さらに、1915年(大正4年)には、勲一等旭日桐花大綬章の受章者のうち、特に顕著な功績を挙げた者にも1500円の終身年金を支給することとした。しかし、財政状況の悪化等により、1941年(昭和16年)には勲等年金および金鵄勲章年金のいずれも廃止され、以後の受章者に対しては年金を支給しないこととした。また、1945年(昭和20年)12月末日限りにおいて、それまで支給されていた勲章年金(勲等年金および金鵄勲章年金)についても一切廃止された。 1947年(昭和22年)に施行された日本国憲法第14条3項では、「栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。」とされた。 1967年(昭和42年)には、金鵄勲章年金令に基づく金鵄勲章年金を受けていた者に対して10万円の一時金を支給する旧勲章年金受給者に関する特別措置法(昭和42年法律第1号)が定められた。同法の国会審議において憲法14条3項との関係が問題となったが、政府はこの一時金の支給は従来受けていた経済的な利益に対する損失補償であって栄典授与に伴う特権ではないとして同条には違反しないと答弁した。 1951年(昭和26年)には文化功労者年金法(昭和26年法律第125号)が公布・施行され、「文化の向上発達に関し特に功績顕著な者」である文化功労者に対して、年額350万円(平成22年度現在。規程の最新改正は1982年(昭和57年)。)の年金が支給されている。一方、「文化勲章受章候補者推薦要綱」は、文化勲章受章候補者について、文部科学大臣が「文化の発達に関し勲績卓絶な者を文化功労者のうちから選考」して、内閣総理大臣に推薦すると定めている。 勲章に年金を伴うことの是非が問題となったことから現行制度は勲章と年金とを直結させていない。したがって、勲章の授与に併せて金品や年金を支給することはない。ただ、文化勲章受章者は文化功労者の中から選ばれるのを通例とするため(文化勲章受章候補者推薦要綱 (PDF) )文化功労者としての年金は支給されることになる。政府見解によれば文化勲章と文化功労者は、制度としては別々に運用されているため憲法14条3項には抵触しないと解釈されている。しかし、そもそも文化功労者の地位自体が栄典であり年金自体が栄典に伴う特権であるとすれば合憲性の問題が残ることになるが、憲法学上は常識的にみて功績を表彰するのに相応の限度内のものであれば法の下の平等に反するものとは言えないと解されている。
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