動画形式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 22:55 UTC 版)
「3DCGソフトウェア」の記事における「動画形式」の解説
精度や速度やカラースペースの問題もあり、コンポジットの中間形式にはHDR画像の連番が使われることが多い (OpenEXRの連番など)。容量の大きさから、圧縮効率の良いYUV色空間で10ビット~12ビットの色深度を採用した非可逆な中間形式が使われることもある (Apple ProResやAvid DNxHD (VC-3)、GoPro CineForm (VC-5)など)。これらの動画形式は編集の容易さのために、圧縮率の高い予測フレーム(インターフレーム)を使わずに、キーフレーム(イントラフレーム)のみで構成されているものが多い。 実写素材においてもキーフレームのみの形式が使われることが多かったが(AVC-Intraなど)、記録媒体の容量や速度が制約となるために、圧縮率の高い予測フレームを使った動画形式が使われることも増えた (AVCHDやXAVCなど)。近年は、再圧縮での劣化の少ないVisually Losslessな中間形式 (ProResやDNxHDなど)で直接撮影できるカメラが増えている。色空間では、効率的にHDRを記録するために、Log系の色空間 (Cineon (*.cin)、Sony S-Log、RedLogFilm、ALEXA LOG-C ProRes、BMDFilm Log、P-10Log、Canon Logなど)で撮影することが増えている。また、大きな記録容量が必要になるものの、RAW形式 (CinemaDNG(英語版)、ARRIRAW、Sony RAW MXFなど)での撮影も行われている。 一部のプロ向けカメラを除いて、多くのカメラではクロマ間引き(YUV 4:2:2やYUV 4:2:0など)が行われているものの、クロマ間引きはクロマキーで抜く場合やカラーコレクションを行う場合などに、ノイズやアーティファクトを発生させる要因となる。同様に、編集時にもクロマ間引きを行わないことが望ましいが、一部の手順はクロマ間引きを行ってしまう (例えば中間コーデックにYUV 4:2:2なApple ProRes 422やGrass Valley HQXを使うなど)。 オーサリングでは、メディアによって異なるフォーマットが用いられる。HDテレビ向けにおいては、以前はテープメディア (HDV、HDCAM、HDCAM-SR、HD-D5、DVCPRO HDなど)が主流だったものの下火となっていき、現在は光学ディスクのXDCAM HD (MPEG HDコーデック)や、フラッシュメモリのSRMASTER (MPEG-4 SStPコーデック)、P2-HD (AVC-Intraコーデック)、XDCAM EX (MPEG HDコーデック)などが伸びている。4Kテレビ向けでは、XAVC形式によるハードディスク/SSD納品やネットワーク経由での納品が行われている。コンシューマー向けには、ブルーレイディスクムービー (Full HD解像度まで、Rec.709色空間、8bit、59.94iまで、H.264コーデック)、ブルーレイ3D (Full HD解像度まで、Rec.709色空間、8bit、Full HDで24p/HDで60pまで、H.264 Annex H (MVC)コーデック)、Ultra HD Blu-ray (UHD BD。4K解像度、Rec.709色空間またはRec.2020色空間、SMPTE ST 2084 EOTFまたはDolby PQ EOTF、10bit、60pまで、H.265コーデック)が使われている。デジタル映画向けには、未圧縮のデジタルシネマディストリビューションマスター(DCDM)形式 (4K解像度、XYZ色空間、16bit、TIFF)と、配布のために非可逆圧縮したデジタルシネマパッケージ(英語版)(DCP)形式 (2K又は4K解像度、XYZ色空間、12bit、JPEG2000コーデック)が使われている。映画のフィルム配信向けには、DPX/ADX形式 (ADX-10又はADX-16色空間、10bit又は16bit、DPX)が使われている。ネット配信では、Netflixが、MPEG-2のNetflix Profile、Apple ProResのiTunes Profile、SMPTE IMF App 2e+での納品を採用している。 3DCGではサブフレームを使った処理が行われているため、ソフトウェアによって異なる総フレーム数制限が存在する。例えば、Blenderでは最大500,000フレームまでしか対応しておらず、60fpsの場合に2時間18秒までの動画しか作ることができない。一方、Mayaはほぼ無制限となっている。 実験的には120fps以上のハイフレームレート(HFR)動画も作られているが、一部のソフトウェアはHFR動画に未対応となっている (例えばAfter Effects 2017.2より前では99FPSまでにしか対応していなかった)。
※この「動画形式」の解説は、「3DCGソフトウェア」の解説の一部です。
「動画形式」を含む「3DCGソフトウェア」の記事については、「3DCGソフトウェア」の概要を参照ください。
- 動画形式のページへのリンク