動物小説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/11/20 15:05 UTC 版)
野生動物の生態や人間との交流を題材にした作品を多く書いている。デビュー作「犬鷲」は、巨大なイヌワシに猟犬を殺された猟師を描いたもので、他にも自然の驚異を描いたものが多い。猟犬を飼っていた経験から、犬と人間の交流を描く作品も多く、長編『犬笛』は映画化されて大ヒットした代表作の一つ。『風は悽愴』は明治期に絶滅したと思われているニホンオオカミをテーマにした作品で、短編「咆哮は消えた」の長編化。短編集の中にも動物小説が含まれている。海や山岳を舞台としたサスペンス小説などでも、熊や猿などの野生動物が重要な鍵となる作品は多い。猫や狐が活躍する『黒猫の眸のほめき』、狐憑きをテーマにした『蘭菊の狐』などもある。『風と雲の街』『頽れた神々』では、超能力を持った犬の存在がストーリーの大きな鍵を握る。 『呪医』や短篇「庭師」(『賞金犬』)は植物と会話する能力が扱われ、「海の角」(『賞金犬』)ではアオザメとカジキと交流する人間が描かれる。 『老人と狩りをしない猟犬物語』は作家活動を始める前に書いた長編で、作者自身も執筆時期を覚えていないが、単行本化の14、5年前としていることから(まえがき)、1960年代後半と推定される。その後の作品の題材が、笹の開花にともなう鼠の大量発生、巨熊、犬鷲、巨猪、山犬との戦い、狐憑き、猟犬との交流など多く内包されている。 作品リスト 『娘よ、涯なき地に我を誘え』徳間書店 1976年(「別冊問題小説」春期特別号(1976年4月)、1978年『犬笛』と改題) 『咆哮は消えた』講談社 1977年(短編集、「犬鷲」収録) 『黄金の犬』徳間書店 1978年 『荒らぶる魂』文藝春秋 1978年(『オール讀物』1978年5-8月号) 『黄金の犬 第二部』徳間書店 1979年 『風は悽愴』光文社 1980年 『捜神鬼』講談社 1980年(短編集) 『老人と狩りをしない猟犬物語』角川書店 1981年 『妖魔』徳間書店 1982年(短編集) 『まぼろしの獣』徳間書店 1986年 『旅券のない犬』講談社 1987年 「狂馬・春岳」(『小説宝石』1993年6月号、『深い眸』所収) 『賞金犬』徳間書店 1988年(短編集)
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