個々の作品・特徴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/06 06:29 UTC 版)
連作ということでなく始まった本作は、等身大の野球人の姿を描くことで物語を成立させる、今ではごく当たり前のことが実践されている。これは以後、初期の『あぶさん』や『平成野球草子』でも同じである。 『よれよれ18番』『あて馬』『ジンクス』などの初期の作品は、あまり前後のつながりを考えずに描かれている(『あて馬』では鉄五郎が監督である)。しかし講談社出版文化賞の受賞をきっかけに、岩田以下魅力的なキャラクターを使った連作へと形を変えていく中で、選手の入団年や年齢の序列、メッツは何回優勝しているのかなどの矛盾をかかえていくことになる。水島自身は今も昔も、あまり設定・記録・時制などにこだわりがないようである。 月次連載へ移ると色々な個性的な選手たち、たとえば女形のプロ野球選手(『スラッガー藤娘』)や「よっぱらい投手」などを列伝形式で描いていく中、レギュラー選手の数が増えていく。岩田は繰り返し主役作品が描かれてゆく。そんな中で里中満智子との合作となる、リリーフ要員の背番号&無骨な男と彼を慕う女の恋愛を絡めて描く異色作『ウォッス10番』『ガッツ10番』『スラッガー10番』の10番3部作と、捨てられた双子が運命の糸に操られプロ野球の舞台で対決する『北の狼・南の虎』がある。なお『任侠三重殺』など現在の視点で見ると「犯罪容認」と受け取られかねないものもある。 人気の上昇による週刊連載への移行に合わせて生まれた新しい主人公が、史上初の女性投手水原勇気である。いわゆる『勇気シリーズ』はいかにして女性投手が誕生し、プロ野球の選手として通用するにはどうするのかが物語の中心となる。その答えがドリームボールという「魔球」であり、「魔球」野球漫画へと回帰している。万年2軍暮らしの武藤は、夢の中で水原が特殊な変化球で空振りを取るのを見て、水原に新魔球の開発を課す。しかし間もなく広島カープにトレードされた武藤は後に、ドリームボールを打つことに選手生命をかけるようになる。
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