信者の幻滅
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 01:31 UTC 版)
Qアノン信者の中には、家族や友人からの孤立に苦しんでいることに気づき始めた者もいる。ある人にとっては、孤独感はカルトからの離脱を始めるための道筋であるが、また別の人にとっては、孤独感はカルトに帰属することで得られる利益を強化するものでもある。ビューは次のように述べている。 .mw-parser-output .templatequote{overflow:hidden;margin:1em 0;padding:0 40px}.mw-parser-output .templatequote .templatequotecite{line-height:1.5em;text-align:left;padding-left:1.6em;margin-top:0}Qアノンコミュニティの人々は、家族や友人からの疎外感について語ることが多い。(中略)彼らは通常、Qがどのように彼らの関係を冷え込ませたのかについて、個人的なFacebookグループで話している。しかし、そのような問題は一時的なものであり、主に他人のせいだと彼らは考えている。彼らは、自分の信念が正しいことを証明することや、近い将来に正当なものだと証明される瞬間が来るだろうと妄想することによって、自分自身を慰めていることが多い。彼らは、そうなれば人間関係が修復されるだけではなく、人々は自分たちを頼るようになり、何が起こっているのかをより良く理解しているリーダーとして扱ってもらえるだろうと妄想している。 一部のQアノン信者は、この陰謀論は自己矛盾したものであり、福音派や保守的なキリスト教徒などの一部の信者から寄付や利益を直接得ようとしている内容が含まれていることを理解した際に離脱する。これにより、陰謀論が彼らにかけていた「呪いが解ける」のである。『Q-debunking』(Qアノンを論破する)という動画を見始めた人もいる。ある元信者は「動画に救われた」と語っている。 このような幻滅は、陰謀論による予言が外れることが原因となって発生することもある。Qは、2018年の中間選挙における共和党の成功を予言し、ジェフ・セッションズ司法長官がトランプの秘密工作に関与していると主張した。暫くの間は二人に見られる明らかな緊張感が信憑性を生んでいたが、民主党が大成功を収め、トランプがセッションズを解任すると、Qコミュニティの多くの人々が幻滅した。またさらなる幻滅が、12月5日に予言されていた秘密結社メンバーの大量逮捕・投獄が実現しなかったこと、およびトランプの元国家安全保障顧問であるマイケル・フリンに対する告発が却下されたことが要因となって発生した。一部の人にとっては、これらの失敗はQアノンというカルト教団からの離脱要因となったが、別の人にとっては、政府に対する反乱という形での直接的な行動を促す要因となった。このような予言失敗への反応は、珍しいものではない。ヘヴンズ・ゲートや人民寺院、マンソン・ファミリー、およびオウム真理教といった過去の終末カルトは、啓示や預言が実現しなかった際に集団自殺や大量殺人に駆り立てられている。心理学者のロバート・リフトンは、これを「終末の強制」と呼んでいる。この現象は、一部のQアノン信者の間で見られる。ビューは、幻滅したQアノン信者が何らかの事件を起こすのではないかと懸念している。2016年には、Qアノンの前身であるピザゲート陰謀論を信じていたエドガー・マディソン・ウェルチが事件を起こしており、2018年にはマシュー・フィリップ・ライトがフーバーダムで事件を起こしている。また2019年には、自分はトランプの庇護下にあると信じていたアンソニー・コメロがマフィアのボスであるフランク・カリ(英語版)を殺害する事件を起こしている。 2018年に「ジョン・F・ケネディ・ジュニアの死亡は嘘である」との主張を行ったQアノン信者のリズ・クロキン(英語版)は、児童売春組織の想定メンバーを逮捕するためには、トランプの行動をただ待っているだけではいけないと2019年2月に述べており、「正義の自警団」の時が近づいていることを示唆している。他のQアノン信者もケネディ・ジュニア生存説を支持しており、ピッツバーグのヴィンセント・フスカという男性が変装して生活しているケネディ・ジュニアであるとされ、2020年アメリカ合衆国大統領選挙でトランプの副大統領候補になることが期待されていた。その中には、ケネディ・ジュニアが現れることを期待してワシントンで行われた2019年独立記念日の祝賀会に出席した者もいる。
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