信者の礼儀
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/16 19:24 UTC 版)
信者の礼儀(しんじゃのれいぎ)では、聖体機密の執行と領聖が行われる。 信者の礼儀は、かつては信徒以外出席を許されず、啓蒙者は退席した。現在の正教会では啓蒙者も参列することが許されるが、祈祷文にはその名残がある。 信者の礼儀は、「信者の連祷」と呼ばれる連祷から始まる。 事前の奉献礼儀で準備された聖パンが置かれたディスコスと、葡萄酒が容れられた聖爵が、奉献台からイコノスタシス北門を通って聖所に運ばれ、信者に示される。この際、生者と永眠を記憶する祈りを司祭が唱える(輔祭がいる場合は輔祭も一部を唱える、主教祈祷の場合は主教が唱える)。その後、王門を通って寶座(宝座)上に捧げられる。この動きを大聖入と呼び、イイスス・ハリストスの葬列と埋葬を象る。この際に、ヘルヴィムの歌が歌われる。 信経が歌われた後、アナフォラが行われる。捧げられた聖パンと葡萄酒を司祭は記憶(アナムネーシス)し、聖神(聖霊)の降臨を願う(エピクレーシス)。この際、鐘を打つ。この打鐘は病などのため参祷出来なかったもののために、この重大な刻を告げる趣旨で行われる。 この後、生神女讃詞(「常に福」もしくはその代わりの生神女讃詞)、天主経(主の祈り)、領聖準備の祝文を経て、領聖へと到る。神品が至聖所で領聖した後、聖所へ司祭が尊体尊血の入った聖爵を持ち出し、信者が領聖する。ここで領聖できるのは正教徒のみであり、非キリスト教徒はもちろん、他教派のキリスト教徒にも領聖は許されていない。 信者の領聖後、司祭はいったん至聖所へ戻る。信者は感謝の祈祷を行う。司祭はここで再び聖所へ出て、聖所中央でイコノスタシス王門に向かい、升壇外の祝文を行う。 その後、司祭の祝福においてその日の聖人が記憶される。このあと万寿詞をもって聖体礼儀の祈祷が終結する。 聖体礼儀の後は、十字架接吻を行う。またさらにそのあとに、信者は領聖感謝祝文を唱える。
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