作中のモチーフ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/06 21:49 UTC 版)
ここでは「黒田硫黄キーワード事典」(『Quick Japan vol.42』所収)を参考に、黒田の作品に特徴的ないくつかのモチーフを解説する。 象 「象の散歩」「象夏」(『大王』所収)「象の股旅」(『黒船』所収)など、黒田は象を好んで作品の題材に取り上げており、また象印の架空のビール「パオパオビール」を複数の作品で登場させている。黒田は象について「とくにアジア象だと人間との関係の文化があるので面白い話がいっぱい掘り出せます」とコメントしている。 自転車 自転車レースを描いた「アンダルシアの夏」で自転車レースファンである宮崎駿から賛辞を受けた黒田だが、このほかにも「わたしのせんせい」「自転車フランケン」など作中にしばしば自転車を登場させている。2003年には『Comickers』春号にて自転車レース漫画『シャカリキ!』の作者曽田正人と対談した。またスタジオジブリ主催のツール・ド・信州にも参加している。『茄子』のアニメ化を記念してつくられた特集本では、すぎむらしんいちやあさりよしとおなど自転車好きの漫画家からイラストを寄せられた。 カメラ 『大日本天狗党絵詞』などに小道具として登場。四季賞の賞金ではカメラを買い、大学の写真サークルで現像の方法などを一通り学んだという。そのとき「自分の外側のものをいかに取り込んでいくか」という点で写真の才能がないことがわかったが、ゾーンシステムや露出の感覚などが絵を描く上での勉強になったと語っている。黒田自身の撮影した写真は『天狗党』カバー見返しや巻末付録などで見ることができる。 ロボット 幼少時に『鉄腕アトム』『マジンガーZ』を好んで観ていたという黒田は、古いタイプのロボットへの憧憬を語っており、今後ロボットものを描きたいとも語っている。「THE WORLD CUP 1962」(『大王』所収)では人類崩壊後に巨大ロボットが戦う光景を描き、『セクシーボイスアンドロボ』ではロボットオタクの青年「ロボ」を登場させた。 料理 『茄子』をはじめとする黒田の作品において頻繁に描かれる食事や料理は、キャラクターの「生き方や人間関係、過去の記憶と密接に結びつ」き、「演出上重要な役割を担」っている。2002年のインタビューでは「僕は登場人物が何を食っているのか分からないようなマンガはだめだと思ってるんです」と語っており、南 (2013, p. 118) はそれ故に黒田の作品には生命感やリアリティが生じるのだとしている。
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