企画・設計
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/17 14:14 UTC 版)
「Rhapsody (オペレーティングシステム)」の記事における「企画・設計」の解説
Rhapsodyオペレーティングシステムの決定的な特徴は、既に旧世代OS化していた従来のMac OSとは根本から異なりMach 2.5マイクロカーネルを採用し、4.4BSDのシステム、Nextで開発されたOpenStep仕様準拠のオブジェクト指向なAPI群のYellow Box、従来のMac OSと互換性のあるインタフェースClassicとJava仮想マシンが搭載されることであった。 そのユーザインタフェースは後にMac OS 8のプラチナアピアランス(アピアランスとはデスクトップやウィンドウの外観を変えることができる機能。この場合、プラチナ調のアピアランスのこと)でモデル化された。以前のバージョンのMac OSのFinderによるファイル管理機能はOPENSTEPのWorkspace Managerに替わって制御されることとなった。従来のMac OSのFinderには見られないOPENSTEPから継承された追加機能は、後のmacOSのFinderに繋がるcolumn view(英語版)のようなものも含まれていた。 Power Macのアーキテクチャ上で実行されている場合にのみ使用できるRhapsodyのBlue Box環境は、Classic Mac OSアプリケーションとランタイムライブラリの互換性を提供する責任があった。後にMac OS Xで実装される、より合理的で統合されたClassic互換レイヤと比較すると、Blue Boxのインターフェイスは、エミュレートされたClassic Mac OSアプリケーションとRhapsodyのネイティブなアプリケーションの間に明確な壁があることをユーザーに痛感させるものであった。すべてのエミュレートされたアプリケーションとその関連する作業用ウィンドウを、ネイティブなYellow BoxのAPIを使用したアプリケーションを点在させる代わりに、1つのBlue Boxのエミュレーション用ウィンドウにカプセル化する仕組みだった。これはクロス環境の相互運用性を制限し、様々なユーザインタフェースの不具合を発生させた。 「UNIX上で駆動するMacインタフェース」とも言えるこの仕様はCoplandで既に致命的なほどにOS開発戦略に失敗していたAppleにとってモダンOSの機能を急ピッチで強引に取り込むための唯一の手段と思われたが、上記の通りAPIに互換が無いために従来のClassic Mac OS用のアプリはそのままでは動作しないという欠点も持っていた。そのため、Rhapsodyはサーバおよびハイエンド向けのMac OSとして用意し、それと別に従来のMac OSもコンシューマー向けにアップデートしていくという戦略的なアナウンスがされていた。 エミュレーション環境内で発生する不具合等を回避し、Rhapsodyの機能を最大限に活用するには、Yellow Boxでプログラムを一から書き直さなければならなかったので、従来からの開発者の支持を得ることができなかった。アドビシステムズやマイクロソフトを含むMacintoshの大手ソフト会社からの、事実上対応版を出さないという表明と同様の異論が出たこともあって、結局Rhapsody開発計画は1998年5月時点で中止され、AppleのOS戦略から除外された。その後、Rhapsodyとは全く別にRhapsodyとClassic Mac OSの両方の要素が混ざったMac OS Xが開発された。 なお、Machマイクロカーネルや4.4BSDの機能、OpenStep仕様などの各種技術はその後のMac OS開発に引き継がれた。APIのCarbonやマルチメディア技術のQuickTimeやスクリプト言語のAppleScriptなどいくつかは実際のmacOSのコアであるDarwinでも採用されている。
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