代替肉市場の拡大
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/29 04:40 UTC 版)
肉の消費量は世界の多くの国で増加しているが、一部の国では肉の消費がピークに達したとの見方がある。研究では、一人当たりの所得が一定レベル(一人当たりGDPが約4万米ドル)になると、肉の総消費量は所得とともに減少することが確認されている。 「2050年までに2度上昇するとする温暖化シナリオにおいて、食肉部門は数十億ドルのリスクを抱える」とも言われており、現在、食肉企業を含めた多くの大手企業が代替肉の開発、販売を始めている。2020年時点で、ネスレ、テスコ、ユニリーバなどの大手食品会社の40 %は植物ベースの製品のチームを持っており、食品小売業者の47 %が「肉の棚」で植物ベースの代替肉を販売しているか、販売する計画を持っている。 また、2197兆円の投資機関ネットワークFAIRR(FARM ANIMAL INVESTMENT RISK & RETURN)の2021年のレポートによると、民間投資家は過去10年間で70億ドル以上を代替タンパク質に投資し、多くは過去3年間に集中しているという。このことから、年を追うごとに、代替たんぱくへの関心が高まっていることが伺える。 下記のとおり、多くの長期予測は代替肉市場の拡大を予測する。 経営コンサルティング会社ATカーニーの分析は、2040年には「肉」市場における培養肉・代替肉の占める割合は60 %になるだろうと予測、現在の畜産由来の肉は実に40 %にまで低下するだろうと予測している。 シンクタンクのRethinkXもまたレポート「Rethinking Food and Agriculture 2020-2030」(2019年)の中で、アメリカの植物性タンパクの産業が急速に拡大するだけでなく、今後15年間で動物タンパク産業に匹敵するものになると予測する。このレポートは、植物性および培養されたタンパク質は、2030年までに動物タンパク質より5倍安くなると予測しており、牛乳の需要については2035年までに90 %減少し、他の畜産物も同様の道をたどると言う。 株式会社矢野経済研究所によると、2020年における代替肉の世界市場規模(植物由来肉・培養肉計)は、メーカー出荷金額ベースで2,572億6,300万円、2025年は6,732億1,900万円に拡大し、2030年には1兆8,723億2,000万円に達すると予想されている。 Food Frontierの新しいレポートは、2030年までにオーストラリアにおける植物性食品の消費支出が30億ドルに成長すると予測する。 Euromonitorによると、中国の植物性食品市場は、2014年以来33.5 %成長し、2018年は97億ドルにまで上昇した。2023年までには119億ドルになるだろうと予測されている。 スイスの金融大手UBSは、2018年に約5千億円だった植物肉の世界市場が、2030年には9兆円を超えると見込む。 2022年、代替肉や培養肉をプロモートする世界的イニシアチブであるGood Food Instituteは、現在の成長速度が維持できれば、2030年には世界の肉類市場の約6%をプラントベース代替肉が占めるという予測を発表。
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