人質
『今昔物語集』巻23-24 人に追われて逃げる賊が、相撲人光遠の妹娘を人質にして離れ家に立てこもる。賊は娘に刀をつきつけるが、娘が手まさぐりに、前にある篠竹を指で折り砕くのを見て恐れ、逃げ出して人々に取り押さえられる。
『今昔物語集』巻25-11 藤原親孝(=源頼信の乳母子)の5~6歳の1人息子を、盗人が人質に取る。盗人は男児に刀をつきつけ、小屋に立てこもる。源頼信は盗人に、「命を助かろうと思うならば、刀を投げよ」と命ずる。盗人は頼信の武威に恐れ、刀を捨てて男児を解放した。
『七人の侍』(黒澤明) 盗人が子供を人質にして納屋へ逃げ込み、1日近くがたつ。通りかかりの貧乏侍・勘兵衛が、盗人を油断させるために、髪を剃って法師姿になる。勘兵衛は「腹が減ったろう」と声をかけて、納屋に握り飯を投げ入れる。盗人が握り飯を取ろうとした時、勘兵衛は納屋の中へ飛び込み、盗人の持つ刀を奪って彼を斬り捨てる〔*勘兵衛はその後、7人の侍のリーダーとなって、農民たちのために戦う〕。
『武道伝来記』(井原西鶴)巻1-2「毒薬は箱入の命」 橘山刑部家の女中小梅が悪事を働き処刑される。その弟九蔵が逆恨みして刑部を襲うがかなわず、刑部の子市丸を人質にとって、米蔵に逃げ込む。刑部の家来森之丞が、蔵の窓から九蔵を銃撃し、市丸を救う。
『都甲太兵衛』(森鴎外) 相撲取りらしい男が人を斬って、刀を手に空き家に立てこもり、人々がののしり騒ぐ。都甲太兵衛が杵で壁を壊して穴を開け、衣をかかげて尻から入り、相手の油断に乗じて捕らえる。「尻なら一太刀くらい切られても大事ないから」と太兵衛は言う。
『必死の逃亡者』(ワイラー) 夫・妻・年頃の娘・小学生の息子の4人家族が住む家に、ある朝、3人の脱獄囚が押し入る。情婦から金が届くまでの間、彼らは4人を人質にして、家の中に隠れる。脱獄囚の存在を周囲に知られないように、夫は出勤せねばならぬし、娘はデートに出かけねばならない。2日目の夜、夫が弾丸の入っていない銃を渡すなどして脱獄囚を欺き、結局、脱獄囚3人は警官隊に射殺される。
★3.友人を人質にする。
『走れメロス』(太宰治) 牧人メロスは、暴君ディオニス王を暗殺しようとして失敗し、捕らえられる。メロスは妹の結婚式のために3日間の処刑猶予を願い、親友セリヌンティウスを人質として王に預ける。3日目の日没時、セリヌンティウスが身代わりに処刑される直前に、メロスは刑場に戻る。
★4.大勢の人質。
『ダイ・ハード』(マクティアナン) 13人のテロリストが、ビルの高層階のパーティ会場に乱入し、30人ほどを人質にしてたてこもる。彼らの狙いは、金庫室にある巨額の債券だった。警察がビルへの突入を試みて撃退されたので、FBIの武装ヘリコプターが出動する。ペリコプターの乗員たちは、「何人死ぬかな?」「テロリスト全員と、人質は多くて25パーセントだ」と話し合う。ビル内にいた刑事ジョンが身を隠しつつ、テロリストを1人また1人と撃ち殺して、人質たちを救い出す→〔真似〕4c。
★5.人質の命を助けるために、あえて傷つける。
『スピード』(デ・ボン) 警察のSWAT隊員2人の会話。「クイズだ。拳銃を持つ犯人が、空港で人質を1人、盾にしている。君との距離は30メートル。どうする?」。「人質を撃つ」。「?」。「人質に怪我を負わせ、犯人がひるんだ瞬間にやっつけるのだ」。
人質と同じ種類の言葉
Weblioに収録されているすべての辞書から人質を検索する場合は、下記のリンクをクリックしてください。
全ての辞書から人質 を検索
- >> 「人質」を含む用語の索引
- 人質のページへのリンク