人生回顧 (ライフレビュー)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/30 02:19 UTC 版)
「臨死体験」の記事における「人生回顧 (ライフレビュー)」の解説
ライフレビューでは、かつての自分の人生の全ての瞬間が強い感情を伴って再体験される。日常では忘れていた過去の全体験がパノラマとなり、瞬時に目の前に再現される。俗に言う「パノラマ体験」である。ムーディ、リング、グレイソンなどの調査では臨死体験者の約25〜30%がライフレビューを経験している。特に事故や溺死による臨死体験ではライフレビューがよく報告されている。集団意識が強く「個人的なモラル」といった観念が薄い少数民族の文化では、ライフレビューは見られないとした研究もある。 稀なケースとして、体験者である自分の視点だけではなく、かつて自分が影響を与えた他者の視点から出来事を再体験したと述べる者もいる。過去に自分が他人を傷つければ、傷つけられた他者の視点からその体験を味わう。喜びを与えればそれも再体験される。こうした体験により、蘇生後は他者への思いやりや自己への責任感が飛躍的に強まる。かつての他人が当時どういう心境でいたかも全て解るため、たとえ他人に酷い仕打ちを受けた過去であっても、それを許す気持ちが積極的に芽生えるという。 レイモンド・ムーディによれば、この回顧体験には「光の存在」が現れる場合と現われない場合とがあり、前者の方が体験が強烈になる。光の存在は、一切批判も称賛もせずに回顧体験を見守り続け、臨死体験者が生前の自分の行動の是非を光の存在に尋ねると、その行動の動機が愛情によるものであったのかどうか、逆に質問されるという。神による裁きや審判がない、とする臨死体験のこの側面は、各宗教団体の間で激しい議論の対象になってきた。 ライフレビューとは逆の現象として「未来予知」が報告される事がある。臨死体験中に見た出来事が、将来においてその通りに実現したと述べる体験者が複数見られている。この現象自体は第三者による確認は困難であるが、第三者に確認されている唯一のケースとして、研究者のレイモンド・ムーディに関わる例がある。臨死体験の存在を世間に認知させたムーディが最初の著作を発表する前に、ある女性がムーディのもとを訪れた。当時ムーディの名は全く無名のままであったが、その女性によれば、体験中に現れた光の存在が臨死体験の内容をムーディに語るよう指示したという。後に研究者のケネス・リングがこの女性とムーディの妻にインタビューを取り、事実であると確認している。 臨死による人生回顧体験を記述していると思われる歴史的な文献については、パタンジャリにおける2000年前のヨガ文献、「チベット死者の書」「エジプト死者の書」、プラトンによるエルの彼岸への世界の旅の話などが挙げられる。
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