人体と水
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/05 08:10 UTC 版)
人体における水分量は年齢・性別によって異なり、新生児で約80 %、成人で60 %前後、高齢者は50 %台となる。また女性は男性に比べて体内の脂肪分が多い関係で水分量は同年代の男性に比べてやや少ない。そして「その人体の水のうち45 %までが、細胞内に封じ込められた水で、残り15 %が血液・リンパ液など細胞の外にある水」と言われている。この細胞内液、細胞外液の両者を総称して体液と呼ぶ。この体液が生命の維持、活動に重要な役割を果たす。 なおニッスイによると1日に排出される水の量は体重60 kgの成人男性で2500 mLであり、内訳としては尿が1400 mL、糞100 mL、汗500 mL、肺からの呼気500 mLである。1日に必要な水の量は当然2500 mLで、一般に飲料水から1200 mL、食物から1000 mLが摂取され、残りは体内で行われた代謝の結果生じた水を300 mL得ている。 水は強力な水素結合で水分子同士が引き合っているために蒸発潜熱が多い。このため汗が蒸発することにより、非常に効率良く体温を放散できる。しかし、発汗しても液体として流れ落ちる量が多い時は、この限りではない。 脱水症 体内の水分量が不足した状態を医学的には脱水と呼ぶ。水分喪失量に対して水分摂取量が不足することによって起こる。脱水症状が長引くと、尿路感染症、腎臓結石、便秘などの特定の症状のリスクが高まるほか、持続的な注意や作業記憶などの認知スキルを弱めることがわかった。水分摂取不足、あるいは水分喪失過剰、あるいは水分摂取不足と水分喪失過剰の同時進行によって起きる。具体的には、高温の環境、重作業、激しい運動、発熱、下痢、嘔吐、食事不足などが原因となって起きる。 水中毒 人体が過剰な水分を投与された場合、細胞外液の浸透圧が異常に下がり、低ナトリウム血症によって悪心、頭痛、間代性の痙攣、意識障害などの症状を引き起こす。これを水中毒と言い、輸液ミス、心因性多飲、SIADHなどの結果として見られる。なお致死量は体重65 kgのヒトで10 – 30 L/日である。 「水中毒」も参照
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