交通事故の範囲と損害賠償義務
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/07 08:57 UTC 版)
「交通事故」の記事における「交通事故の範囲と損害賠償義務」の解説
道路交通法において交通事故とはされないものには、次のようなものがある。 道路交通法上の「道路」外での事故道路交通法における「道路」は、道路法に規定する道路、道路運送法に規定する自動車道及び一般交通の用に供する全ての場所である。道路交通法上の「道路」外での事故には交通事故証明書は発行されない。 ただし、道路交通法上の「道路」は、単に私有地や駐車場と言う事により対象外となるものではない。おおよそ純然たる人の専有する土地や、工場の構内道路など公衆の立ち入りが制限されているものを除いては、おおむね道路交通法上の「道路」に該当する可能性がある事に、注意が必要である。また通説・判例上も争いがある点であるので現実の事故の際には注意を要する。 また、交通事故証明書の発行の有無と、警察への交通事故への届出義務の有無とが一致すると言う事実は検証されていないため、これも現実の事故の際には注意を要する。 また、交通事故証明書の発行の有無と、被害者への損害賠償義務の有無は、無関係であり、証明書発行の有無によって損害賠償義務の有無は左右されない。 運転免許証の要件として「道路外致死傷」が新設され、道路交通法にも影響を及ぼすようになった。 車両等の交通に起因しない事故例えば、エンジンを切っていた自動車等が自然に爆発炎上したような場合、自動車等の正規の場所に搭乗中の人が当該自動車等のドアやその窓に身体を挟まれたような場合や、駐車場に駐車している車両が崖崩れなどの災害により被害に遭った場合など。ドアの開閉により道路を通行中の他の人・車と接触し、または接触の危険があった事を原因として事故が起きた場合には、交通事故となる。また、車両等の運転中に爆発炎上したり崖崩れなどの外的要因により事故となったりした場合も交通事故となる。 歩行者の単独事故、または歩行者同士の衝突事故特に、道路交通法上「歩行者」とみなされる車両同士、あるいはこれらと歩行者との事故も、同法上の交通事故とならない。リヤカーや台車等は軽車両であり、道路交通法上の道路上であれば交通事故となる。 道路交通法上の交通事故に該当するか否かと、法律上の損害賠償義務と、さらに自動車損害賠償責任保険や任意の自動車保険の支払基準については、おおよそそれぞれ無関係である。 自動車損害賠償保障法第3条「自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によつて他人の生命又は身体を害したときは、これによつて生じた損害を賠償する責に任ずる。」の規定に関連し、次の判例がある。木材製作所私有地敷地内の道路において駐車中の普通貨物自動車に積載した原木の丸太を当該貨物自動車から荷下ろしする際にフォークリフトのフォークにより当該貨物自動車の荷台から反対側の地面に突き落とすことにより荷下ろしをし、よって居合わせた児童が丸太の下敷きになり死亡した事故は、当該貨物自動車を「当該装置の用い方に従い用いること」によつて生じたものである。 道路上において材木を積載した大型貨物自動車を駐車させ、別のフォークリフトを使用して当該貨物自動車の材木を荷下ろししている際に、フォークの高さ調整のためにフォークリフトは道路外の空き地に停止していたがフォーク部分が道路上に突き出しており、折から道路上を進行してきた他の自動車にフォーク部分が衝突し、よって自動車の運転者を負傷させた事故は、当該貨物自動車を「当該装置の用い方に従い用いること」によつて生じたものではないが、依然として民法709条による損害賠償義務がある。 交通事故証明書が発行されない事故に対しては、基本的に自賠責保険による補償対象とならない。ただし、自動車任意保険では、通常は補償対象となる。
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