交直接続の駅
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/04 14:45 UTC 版)
当駅は電化後、直流専用と交流専用双方の機関車の乗り入れ・車両交換ができるよう、1959年(昭和34年)から2017年(平成29年)まで構内に地上切り替え方式の交直接続設備を設けていた。架線は3番線(直流専用)と一部の側線を除き、直流・交流の両方に切替られるように交流区間で使用されている碍子形同相セクションにより区分(セクション)され、交直切換断路器を用い、黒磯変電所からの交流・直流の電源を地上からの指令で駅構内の区分された架線(セクション)に切替えて流すことが可能であった。このため、構内の信号機には直流または交流が加圧されていることを表示する架線電源識別標識が取り付けられていた。 地上切替時代は、上野駅と東北を結ぶ夜行列車などの機関車けん引列車は原則的に当駅に停車し、直流・交流の機関車の交換作業を実施した。双方の電源に対応できる交直両用車両・気動車使用列車も、設備が車両側で乗務員操作により交直切り替え操作を行う車上切替に対応しておらず、信号取り扱いが電源切り替えに連動していた関係上、一旦停車し、交直両用車両については停車後パンタグラフを降下、地上側での電源の切り替え後にパンタグラフを再上昇させ発車する形をとった。ただし、1968年(昭和43年)10月改正(ヨンサントオ)以降、1番線の東京方と5番線の青森方に無電区間(デッドセクション)を設け、自動列車選別装置を装備する車両は地上子との連携により、1番線(下り)・5番線(上り)を停車せず通過し、車上切り替えを行うことが可能となっていた(列車選別装置#黒磯駅通過列車用も参照)。 しかし地上側の設備が複雑となること、2008年に作業員の感電死事故が発生したことから、JR東日本では「保守管理の課題解消を目的」として、当駅構内をすべて直流電化とすることを決定し、2013年(平成25年)に工事を開始し、2018年(平成30年)1月1日から3日にかけ、構内の直流化を完了した。これに伴い、構内の盛岡方にデッドセクションが新設され、交直流電車・機関車は通過中に電源の切り替えを行う方式とした(車上切替方式)。 このため、工事完了後の当駅への交流専用車両の乗り入れは不可能となったが、機関車交換が必要となる貨物列車は2012年(平成24年)にED75形交流電気機関車の定期運用が終了し、2016年(平成28年)3月26日以降は直流電気機関車の乗り入れも終了したことで、同駅を通過する貨物列車は交直両用のEH500形が直通で牽引する列車のみとなっていた。旅客列車についても、切替直前の2017年(平成29年)10月14日に実施したダイヤ改正で、当駅以北で運行されていた交流専用電車の運行を新白河駅まで(関東地方への交流専用車両の乗り入れは消滅)とし、当駅 - 新白河駅間で運行する車両をE531系交直流電車とキハ110系気動車(2020年3月14日ダイヤ改正で撤退)に置き換えている。なお、理論上は交直流電車・気動車の黒磯駅以南(宇都宮線区間)への乗り入れも可能であるが、2021年現在は回送列車の設定があるのみで、営業列車としての直通運転は行われていない。 東京方にあった交直切換断路器。 盛岡方にあった交直切換断路器。 交直切換断路器の拡大写真、切換断路器の上の2本の配線は直流・交流の電源からの配線。 駅構内にあった架線に流れる電気を区分する為の碍子形同相セクション、上にある白地に赤線の標識は電車線区分標。 駅構内にあった架線電源識別標識、交流通電中の表示(赤色横二灯)。 駅構内にあった架線電源識別標識、直流通電中の表示(白色縦二灯)。 構内完全直流化後に盛岡方にデッドセクションを設置したため、下り線のホームに切替標識が設置された。
※この「交直接続の駅」の解説は、「黒磯駅」の解説の一部です。
「交直接続の駅」を含む「黒磯駅」の記事については、「黒磯駅」の概要を参照ください。
- 交直接続の駅のページへのリンク