井出謙治とは? わかりやすく解説

井出謙治

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/09/04 23:05 UTC 版)

井出 いで 謙治 けんじ
生誕 1870年6月7日
明治3年5月9日
死没 (1946-10-30) 1946年10月30日(76歳没)
所属組織  大日本帝国海軍
軍歴 1891年 - 1930年
最終階級 海軍大将
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井出 謙治(いで けんじ、1870年6月7日明治3年5月9日〉- 1946年昭和21年〉10月30日)は、日本海軍軍人海兵16期次席[1]。階級は海軍大将

経歴

幕臣・井出勝三の長男として生まれる。開成中学を経て、1885年(明治18年)に海軍機関学校に入校。機関学校廃止にともない、全生徒とともに1887年(明治20年)に海軍兵学校16期)に編入し、同校を1890年(明治23年)に卒業(次席[1])、1891年(明治24年)に少尉任官。「吉野」回航、「吉野」分隊長、砲艦「大島」航海長、常備艦隊参謀軍令部第2局員を経て、1899年(明治32年)アメリカへ私費留学し潜水艇について興味を持つ。製造会社に日参するも購入が条件と見学を断られ続けるが、退役米海軍少佐と知り合い潜水艇の航海を体験する。海軍省の命で潜水艇の購入交渉を行うが、予算の手当てができず交渉中止となった。1902年(明治35年)に帰国し、潜水艇への理解を深めることに尽力。「朝日」分隊長、駆逐艦「」艦長を歴任し、海軍省副官兼海相秘書官となり山本権兵衛大臣に仕えた。

その後、第2潜水艇隊司令兼水雷母艦「豊橋」艦長、海軍省副官、造船造兵監督官(イギリス出張)、イギリス大使館付武官、「磐手」艦長などを経て、1913年(大正2年)に海軍少将・呉水雷隊司令官となり、呉鎮守府参謀長、第4戦隊司令官、軍務局長、海軍次官などを歴任。1924年(大正13年)に海軍大将軍事参議官1930年(昭和5年)に退役した。

人物

藤田尚徳(海兵29期、海軍大将)によると、海軍部内において、岡田啓介(海兵15期、海軍大将)と並び、抜群の記憶力で知られていた[2]

栄典

位階
勲章等
受章年 略綬 勲章名 備考
1895年(明治28年)11月18日 勲六等単光旭日章[14]
1900年(明治33年)11月30日 勲五等瑞宝章[15]
1905年(明治38年)11月30日 勲四等瑞宝章[16]
1906年(明治39年)4月1日 功四級金鵄勲章[17]
1906年(明治39年)4月1日 勲三等旭日中綬章[17]
1906年(明治39年)4月1日 明治三十七八年従軍記章[17]
1920年(大正9年)11月1日 勲一等旭日大綬章[18]
1921年(大正10年)7月1日 第一回国勢調査記念章[19]
1940年(昭和15年)8月15日 紀元二千六百年祝典記念章[20]
外国勲章佩用允許
受章年 国籍 略綬 勲章名 備考
1906年(明治39年)6月28日 スウェーデン王国 レペー勲章英語版シュウアリエー[21]
1908年(明治41年)1月25日 オーストリア=ハンガリー帝国 フランソワジョゼフ勲章英語版コンマンドール[22]
1912年(明治45年)4月12日 イギリス帝国 皇帝皇后両陛下戴冠記念章英語版[23]
1913年(大正2年)7月28日 イギリス帝国 ヴィクトリア第三等勲章[24]
1918年(大正7年)12月6日 支那共和国 二等宝光嘉禾章[25]
1919年(大正8年)9月27日 フランス共和国 レジオンドヌール勲章コンマンドール[26]
1920年(大正9年)12月22日 アメリカ合衆国 海軍殊勲章英語版[27]
1920年(大正9年)12月27日 イタリア王国 王冠第一等勲章英語版[28]
1922年(大正11年)1月29日 フランス共和国 レジオンドヌール勲章グラントフィシエ[29]

脚注

  1. ^ a b 秦 2005, pp. 269–288, 第1部 主要陸海軍人の履歴-期別索引
  2. ^ 藤田 1987, pp. 20–29, 酒と侍従
  3. ^ 『官報』第2539号「叙任及辞令」1891年12月15日。
  4. ^ 『官報』第3783号「叙任及辞令」1896年2月12日。
  5. ^ 『官報』第4402号「叙任及辞令」1898年3月9日。
  6. ^ 『官報』第5232号「叙任及辞令」1900年12月8日。
  7. ^ 『官報』第6494号「叙任及辞令」1905年2月25日。
  8. ^ 『官報』第7640号「叙任及辞令」1908年12月12日。
  9. ^ 『官報』第451号「叙任及辞令」1914年1月31日。
  10. ^ 『官報』第1624号「叙任及辞令」1917年12月29日。
  11. ^ 『官報』第3158号「叙任及辞令」1923年2月12日。
  12. ^ 『官報』第3790号「叙任及辞令」1925年4月14日
  13. ^ 『官報』第4045号「叙任及辞令」1926年2月20日。
  14. ^ 『官報』第3727号「叙任及辞令」1895年11月29日。
  15. ^ 『官報』第5226号「叙任及辞令」1900年12月1日。
  16. ^ 『官報』第6728号「叙任及辞令」1905年12月2日。
  17. ^ a b c 『官報』7005号・付録「叙任及辞令」1906年11月2日。
  18. ^ 『官報』第2660号「叙任及辞令」1921年6月14日。
  19. ^ 『官報』第2858号・付録「辞令」1922年2月14日。
  20. ^ 『官報』第4438号・付録「辞令二」1941年10月23日。
  21. ^ 『官報』第6902号「叙任及辞令」1906年7月3日。
  22. ^ 『官報』第7378号「叙任及辞令」1908年2月3日。
  23. ^ 『官報』第8646号「叙任及辞令」1912年4月18日。
  24. ^ 『官報』第301号「叙任及辞令」1913年7月31日。
  25. ^ 『官報』第1905号「叙任及辞令」1918年12月9日。
  26. ^ 『官報』第2147号「叙任及辞令」1919年9月30日。
  27. ^ 『官報』第2520号「叙任及辞令」1920年12月24日。
  28. ^ 『官報』第2527号「叙任及辞令」1921年1月7日。
  29. ^ 『官報』第2848号「叙任及辞令」1922年2月1日。

参考文献

  • 外山操編『陸海軍将官人事総覧 海軍篇』芙蓉書房出版、1981年。
  • 秦郁彦編『日本陸海軍総合事典』第2版、東京大学出版会、2005年。
  • 半藤一利他『歴代海軍大将全覧』中央公論新社〈中公新書ラクレ〉、 2005年。
  • 藤田尚徳『侍従長の回想』中央公論社〈中公文庫〉、1987年。 
  • 福川秀樹『日本海軍将官辞典』芙蓉書房出版、2000年。




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