五ヶ井用水の修築事業とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > ウィキペディア小見出し辞書 > 五ヶ井用水の修築事業の意味・解説 

五ヶ井用水の修築事業

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/27 07:59 UTC 版)

文観」の記事における「五ヶ井用水の修築事業」の解説

民衆救済事業における文観最大貢献一つとも言えるのが、加古川水系五ヶ井用水修築である。 東播磨気候的に干魃がよく起こる地帯であり、そのため古くから用水施設整備された。伝説では、聖徳太子がいた7世紀初頭古代から、加古川東岸200ヘクタール潤す原・五ヶ井用水作られと言われている。五ヶ井用水はさらに中世大規模な修築工事が行われ、700ヘクタールもの水田潤す大型用施設となり、「五ヶ井堰」とも言われた。五ヶ井用水は、加古川大堰1989年完成するまで、地域の富を生み出す基幹として利用され続けた金子哲は、この中世の五ヶ井用水修築事業は、文観主導したのである唱え、以下の議論行った。 まず、五ヶ井用水修築に関して寺伝有するのは、加古川市加古川町常楽寺加古川町北在家天台宗鶴林寺加古川町寺家町当時)の曹洞宗常住寺(のち本町移転)である。 常楽寺は、既に述べたように、真言律宗西大寺末寺であり、文観本拠地である。 鶴林寺は、真言律宗ではない。しかし、弘安8年1285年8月9日真言律宗開祖叡尊立ち寄ったことや(『感身学正記』)、応永年間1394年 - 1428年)に復興された建築物様式、そして大工集団南都興福寺風の名前を持っていることから、中世には西大寺勢力繋がりがあったのは確かである。 常住寺は、当時西大寺末寺真言律宗の寺だったと思われる。その論拠として、明徳年間1390年 - 1394年)の「西大寺末寺帳」に、播磨国末寺として、「常住寺四十九院〉」とある。これを「行基四十九院」という古代寺院結びつける説もあったが、播磨国行基49院は存在しない当時用例照らし合わせれば、ここでいう四十九とは夙(しゅく)の俗な書き方であり、常住寺は夙院、つまり宿院(宿を管理する寺院)だったと考えられる加古川町寺家町は、当時地形からして宿院設置するには良い位置だったため、寺家町常住寺が、西大寺末寺帳に言う宿院常住寺と同じものであることは確実である。 このようにして見ると、五ヶ井用水修築に関する言い伝えを持つのは、すべて中世には西大寺勢力と密接だった寺院であり、真言律宗によって修築進められたことは疑問余地がない。 『加古川市史』第5巻所収「五ヶ井由来記」(明暦3年1657年10月頃?)では、日岡神社日向明神聖徳太子力を合わせて修築したのが五ヶ井用水である、という伝説語られる文観祖父一人日岡神社神主だったと推測され、さらに文観常楽寺日岡神社別当寺神社管理する寺)であり、か聖徳太子真言律宗尊ばれ存在である。よって、これはおそらく文観真言律宗西大寺勢力によって修築進められたという記憶が、伝承の形で残されたもの考えられる修築時期文観時代であると特定が可能である。『兵庫県史料中世九、古代補遺所収観応元年1350年12月5日付「足利尊氏袖判下文案」(森川清七所蔵文書)からは、この地域守護直接的影響にあったことがわかる。しかし、南北朝時代・室町時代には、守護所播磨国西部移動し、それに伴ってこの一帯小規模な領主群雄割拠するようになり、用水修築のような大工事を行うことができる勢力がいなくなる。よって、西大寺勢力率い文観という強力な指導者がいた鎌倉時代末期以外に、五ヶ井用水修築出来たとは考えにくい、という。

※この「五ヶ井用水の修築事業」の解説は、「文観」の解説の一部です。
「五ヶ井用水の修築事業」を含む「文観」の記事については、「文観」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「五ヶ井用水の修築事業」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「五ヶ井用水の修築事業」の関連用語

五ヶ井用水の修築事業のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



五ヶ井用水の修築事業のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの文観 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS