二ヶ国語放送の記録
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/04 15:05 UTC 版)
「DVDレコーダー」の記事における「二ヶ国語放送の記録」の解説
アナログ放送(地上波アナログ・BSアナログ放送)の音声多重放送は2つの音声トラックを使って副音声付放送(二ヶ国語放送、解説放送。デュアルモノラル)とステレオ放送を行なっている。副音声付放送は主+副であるが、ステレオ方法は単純に左+右ではない。詳細は音声多重放送を参照の事。 デジタル放送ではMPEG-2の技術(MPEG-2 TS)を採用している関係で音声信号の仕組みもDVD-Videoフォーマットに近い形になっており最大8トラック(技術的にはストリームと呼ばれている)まで利用可能であるが、それぞれの音声トラックに記録されている音声のチャンネル切換再生(例えばステレオ2ch音声の場合なら左右の切換)にはDVD-Videoフォーマットの場合と同様に対応していない。CS放送もデジタル放送なので音声信号などの規格上はデジタル放送に極めて近い仕組みだが2006年初頭現在、アナログ放送の方式に合わせて音声ストリームは1系統のみで行なっている放送チャンネルがほとんど。一部のチャンネルや番組プログラムには第二音声信号があるものがある。詳細はCS放送の記事を参照のこと。 従って、DVDレコーダーのDVD-Videoモードでも音声トラック内のある1つのチャンネルを選択して再生する仕組みにはなっていない。DVD-VRでは、DVD-Videoの場合と異なりステレオ2ch音声の左右を選択指定して切替が可能な機種と、(DVD-Videoと同様に)左右の切換が不可能になっているものが存在する。ちなみにDVD-Videoの再生でもごく一部の多機能なAV機器やAVソフトでは左右音声を独立にボリューム調整可能なものはあるが、これらの機能コンセプトはあくまで音声切り替えではなく左右別のボリューム調整である。 DVD-Videoで音声を選択できる形で記録するには音声トラックを複数使用した形で記録しないと二ヶ国語が再生できるものは作れないが、未だDVD-Videoフォーマットの記録に音声トラックを2つ以上使用する機能をもった機種は登場していない。現状は、DVDレコーダーでDVD-VideoフォーマットのDVDに二ヶ国語番組を(音声の切り替えが可能な形式で)記録する事は実質的には不可能である。なお、パソコンで利用可能なアプリケーションソフトには、DVD-VideoフォーマットのDVD作成に2つ以上の音声トラックを作成可能な機能を持つオーサリングソフト(編集ソフト)がある。 一方、DVD-VRモードではフォーマットの規格として二重音声である旨の識別情報が定義されている。DVD-Videoモードでは二重音声かそうでないかの区分が存在しないので、二重音声を記録した場合はステレオ2ch音声の場合に左/右の切り替えが不可能なのと同様に主/副の切り替えが不可能な状態で記録される。アナログテレビ放送やDVD-VRフォーマット、さらに一部のデジタル放送でも使われている二重音声(デュアルモノラル音声)の仕組みはデジタル放送のステレオ二ヶ国語放送(デュアルステレオ)やDVD-Videoフォーマットで採用されている多重音声の仕組み(論理的なデータ構造)とは異なっている。前者は2chステレオも二重音声も音声トラック(デジタル記録技術の場合は音声ストリーム)を2つ使用した技術であり、後者は2ch音声もそれ以上の多チャンネル(例:5.1chなど)音声でも使用するトラック(ストリーム)は1つとして定義されている。 市販の民生レコーダーではこの状態(主/副の音声の切り替えが不可能なDVD-Videoディスクが作成される状態)を回避するために二重音声のDVD-VRフォーマットをそのままDVD-Videoフォーマットに記録や変換ができないようにしている。DVD-Videoフォーマットで記録する場合は二ヶ国語放送の音声を別々に選んで再生可能な状態で収録するには音声トラックが2つ必要になるが、これに対応した民生レコーダーは2010年5月現在いまだ製造されていない。またデジタル放送で行われているデュアルステレオによる二ヶ国語放送の場合はそれぞれの言語音声を1つずつの音声トラックに記録し都合2つの音声トラックを使用することでデュアルステレオ音声とすることが理論的には可能でかつ技術的にも容易であるが、これについても未だ可能な機種は2010年5月現在製造・販売されていない。これはDVD-VRとDVD-Videoの両フォーマットへの録画機能を備えたDVDレコーダーで先行したメーカーが両フォーマット間のコンバート処理を技術的にシンプルにするためにDVD-Videoフォーマットで二ヶ国語放送のような二重音声放送を録画する場合、あるいはDVD-VRで録画した二重音声放送をDVD-Videoフォーマットにダビングする際に機器使用者に二ヶ国語のうち一方だけを選ばせることでDVD-Videoフォーマットでの音声トラックの使用を1つに限定した仕様を採ったこと、かつ後続メーカーや後続機種も全てそれに倣ったことによる。
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