レンズシフト方式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/11 15:01 UTC 版)
写真レンズ内に振動ジャイロ機構を備えた補正レンズを組み込み、ブレを打ち消す方向に補正レンズを動かすことによって光軸を補正する方式である。これにより受光面(フィルムやイメージセンサー)に到達する光の動きを抑えることで手ぶれを軽減させる。キヤノンのIS (Image Stabilizer) 方式、ニコンのVR (Vibration Reduction) 方式(COOLPIX S700など一部の機種を除く)、ソニーのOSS(Optical Steady Shot)方式(Cyber-Shotおよびα Eマウント)、パナソニックのMEGA OIS方式、シグマのOS (Optical Stabilizer) 方式、タムロンのVC (Vibration Compensation) 方式などがこの方式を用いている。 利点として、フィルムカメラでも手ぶれ補正効果が得られる、一眼レフの光学式ファインダーでも画像の揺れが補正され撮影しやすい、レンズごとに補正機構を最適化できるので高い補正効果を期待できることがある。一方、補正用レンズや駆動系を組み込むため、光学系の設計に制約が生じ、レンズが大きく重くなるほか、レンズ交換式ではレンズごとに補正機構を有するため総コストが高くなる、原理的に光軸を軸とした回転ぶれが補正できないという欠点がある。 パナソニックは1988年に民生機としては世界初となる光学式手ぶれ補正機構を搭載したS-VHSフルカセットビデオカメラ「PV-460」(北米向け品番 国内には翌1989年にNV-M900として発売)を世に送り出すも、レンズ鏡筒全体を動かすのでどうしても大型化してしまい、小型化のため電子式に転換せざるをえなかった(電子式で「ブレンビー NV-S1」をヒットさせた)。しかし、電子式のシステム上の限界や画質向上のため再度光学式の開発を行い、1999年によりコンパクト化した光学式手ぶれ補正機構を搭載したデジタルビデオカメラ「NV-DS9」を発売し、この技術がその後のパナソニック製デジタルカメラにも用いられた。 ニコンは1994年に光学式手ぶれ補正方式を採用した世界初の35 mmコンパクトカメラ「ニコンズーム700VRQD」を発売した。 一眼レフカメラ用レンズでは1995年に発売されたキヤノンのEF75-300mm F4-5.6 IS USMが最初になる。 コンパクトデジタルカメラでは、オリンパスが2000年8月にCAMEDIA C-2100 UltraZoomでキヤノン製の手ぶれ補正機構を搭載した。キヤノンもこれに続いてPower Shot Pro 90ISをリリースした。2003年にパナソニックが小型コンパクトデジタルカメラ「DMC-FX1」と「DMC-FX5」に同クラスとしては初となる手ぶれ補正機構を搭載して以降、2005年にはソニーが、2006年にはニコンとキヤノンが、いずれも小型コンパクトデジタルカメラなどで、より小型化された補正レンズが組み込まれたものを販売している。一般的に補正機構が大きくなってしまうため、レンズ自体が大きく高価になったが、現在では克服され、小型コンパクトデジタルカメラにも搭載されている。
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