イメージセンサーシフト方式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/11 15:01 UTC 版)
「手ぶれ補正機構」の記事における「イメージセンサーシフト方式」の解説
振動ジャイロ機構で手ぶれを感知し、CCDなどのイメージセンサー(撮像素子)を手ぶれに応じて移動させることによって光軸を正確に当てる方式である。 当時のミノルタ(現コニカミノルタ)がAnti-Shake方式として、2003年に発売した「DiMAGE A1」に初めて搭載した。その後リコーが2005年に発売した「キャプリオR3」に、またペンタックスが2006年に発売した「Optio A10」にはSR (Shake Reduction) 方式という名称で、オリンパスも「μ750」で、2007年には富士フイルムが「FinePix F50fd/Z100fd/S8000fd」で、ニコンが「COOLPIX S700」にVR方式として、共にほぼ同様のシステムを搭載した。 デジタル一眼レフではコニカミノルタが「α-7 Digital」にAnti-Shake方式の機構を搭載、ソニーがコニカミノルタより開発/販売を受け継いだα Aマウントでは、名称がAnti-ShakeからSuper Steady Shotへ変更され、2008年以降はレンズシフト式との区別から、冠のSuperを外してSteady Shotに変更された。ペンタックスも「K100D/K10D」にSR方式の補正機構を組み込んだほか、オリンパスも「E-510」に「IS (IMAGE STABILIZATION)」を組み込んでいる。 カメラ本体に補正機構を組み込むことで、レンズ自体に補正レンズを組み込む必要がなく、一眼レフカメラなどレンズ交換式カメラにおいては既存のレンズでそのままブレ補正の機能が利用できる。ライブビュー機能やEVFならば、レリーズ前から手ブレ補正の効果をプレビューすることが可能である。原理的には縦・横・回転の3軸の補正が可能というメリットがある。このセンサーをシフトする機構を応用して自動水平補正や構図微調整の機能、GPSユニットと組み合わせた天体追尾撮影機能、1画素未満の微振動でローパスフィルター同等の効果を得る機能(以上はペンタックスのセンサーシフト機構による応用機能)、1画素単位の稼働と電子シャッターの併用による複数枚撮影と画像合成で高解像度・高画質の画像を生成する機能(ペンタックスのリアルレゾリューションシステムやオリンパスのハイレゾショット)、イメージセンサーを微振動させ埃を弾き飛ばす「ほこり除去機構」などを備える機種もある。 欠点としては、前述のレンズシフト方式に比べた場合に、光学式ファインダーの場合にはファインダー内でブレ補正の効果が確認できないこと、あらゆるレンズで最高の効果を得るためにはレンズごとに最適値が異なる駆動パターンをデータとしてボディーに用意しておく必要があること(データのないレンズでは暫定値での制御となり補正効果が低下する)が挙げられる。また機構上センサーの放熱構造にゆとりがないため長時間の動画撮影に向かず、真夏の炎天下などでは数分程度でカメラの動作が停止することがある。デジタル歪曲補正を利用することを前提として設計された歪曲収差の大きなレンズを使用した場合は中央部と外周部で像の移動量が異なるため一部しか最適な効果が得られない。また、超望遠レンズで十分な補正効果を得るためには、原理的にセンサーの可動域を大きくする必要があるため、市販品のカメラでは補正機構の効果を実用的な範囲内の焦点距離に限定している場合がある。
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