ホステラーの高年齢化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/29 06:20 UTC 版)
「ユースホステル」の記事における「ホステラーの高年齢化」の解説
日本では、1970年代まではホステラーのほとんどが10代後半から20代前半の学生・生徒(世代としては「団塊の世代」からその10歳前後下までが中心)で、1980年代から1990年前後までは若年の会社員・公務員の利用が多くなったとはいえ、学生・生徒の利用も少なくなかった。 近年の日本では、学生等の若者よりむしろ中高年の利用が多く、2000年代では30代がホステラーの中心的な年齢層である。また、かつてはあまり見られなかった高齢者、家族連れの利用もかなり多く見られるようになった。 利用者側の側面少子化によって日本全体で若年者の割合が減っていること、面識のない他人との相部屋を嫌う若者が、現在ではかつて以上に多いこと。また相部屋を嫌う旅行者が出張でなくてもビジネスホテルを選択する傾向があり、ビジネスホテルも最近は料金がリーズナブルでしかも朝食も無料提供という優待サービスも少なくない。 日本国内の施設では、比較的年齢層の高い社会人がホステラーの主流となっていくにつれ、学生・生徒が心理的にホステラーとして宿泊しにくくなってしまったこと。 国内の経済情勢の変化(主に悪化)により、大学生は3年次から就職活動を強いられ、卒業後も社会に出て1〜2年目は遊びどころではないこと。 「携帯貧乏」と称されるように、携帯電話などへの支出が多い生活スタイルから、若者の旅行への支出が減少傾向にあること。 安価な国際線航空券が多く流通することで、若者の海外旅行が多くなったこと。 施設側の側面設置者がマネージャーである民営ユースホステルにとって、比較的多くの安定収入のある20代後半以降の会社員・公務員が主たるホステラーであれば、単に宿泊するだけでなく、年越しパーティやカヌー・ラフティングなどのツアーといった施設主催の行事に参加し、また、施設で販売する地酒・輸入ビールなどの安価ではない酒類を購入するなど、本来の宿泊料金以外にサービス・商品などでの収入が多額となり、学生が主なホステラーであるよりも多くの収益を見込める。また、そのような社会人が固定客となれば、安定した施設の経営に繋がりやすい。そこで、日本国内のかなり多くの施設で、本来のユースホステルの設立趣旨から逸脱・乖離しながらも、学生・生徒よりも比較的年齢層の高い社会人の宿泊を主眼において経営を進めるようにもなり、そのような施設運営のあり方も、日本でのホステラー高年齢化をさらに進行させている。 ユースホステルの長所の1つである料金の低廉さが、近年においては格安なビジネスホテルなどの乱立により長所たり得なくなっていること。詳しくは次節を参照。 しかし、ホステラーの高齢化が進んでいる理由は、多くの場合、単一の理由のみによってではなく、複合的な要因によることが多いと考えられる。また、地域的事情など他の様々な要因も関係する。
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