プロテクターの行動様式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/12 02:47 UTC 版)
パク人のプロテクターは同族の近縁者の面倒をみなければならない(あるいは名前の元となっているように「プロテクト」せねばならない)という本能を持つ。プロテクターは同族のブリーダーを匂いで識別し、半ば強制的・自動的に彼らが最大の利益を得るよう行動する。またプロテクター同士であってもしばしば一族のための領土や資源を賭け系統を根絶やしにするような闘争も行う。守るべきブリーダーを失うとプロテクターは食欲を失って餓死してしまうが、中には守る対象を全パク人に拡げ種族全体に貢献するために生き続けることを選ぶ者もいる。 その知能の高さゆえ、プロテクターはいかなる場合でも与えられた条件での最適解が分かってしまう。情報が不足している・前提条件が間違っている場合は選択を誤る事もありうるが、情報が十分ならば状況把握のため、現状を定義できる学術体系を個人がその場で組み立てる事すらある。得られた解がブリーダーたちにとって有益な場合は是も非もなく行動に移す。加えて、プロテクターが採るあらゆる行動において、絶対の前提条件は血族への義務感であるため、実際のところプロテクターには人間でいうところの自由意志というものがほとんどない。同じ条件を与えられた同じ種族のプロテクターは、どの個体であっても常に同じ選択肢を採らざるを得ないのだ。総じて言えばパク人のプロテクターの本質は自分の種族が第一で差別主義的、好戦的ということであり、自身の直系子孫以外のものを一切許容しない。または最も「進んだ」プロテクター(全パク人を保護の対象と選んだ者)の場合でも他の生物種を敵とみなす。異なる血族のプロテクター同士が協力することもあるが利害が一致する場合だけである。しかし一方が他方を裏切ることで有利になると判断した場合はその限りではない。かくしてパクの母星は恒常的な戦争が続くこととなった。 人間がプロテクターになると、自分は、ブリーダーだったら非道徳とみなすような行動をとる存在であると自覚するようになる。例えば小説『プロテクター』の登場人物であるジャック・ブレナンはプロテクター化した後、誰もが忘れかけていたとある事件で数名の人類を殺されたことの報復として火星人を根絶やしにしてしまった。プロテクターであるブレナンにとっては火星人の存在自身が抹殺すべきリスクであるというのは自明の理である。ブレナンはホーム星の住民に対しても同様に無慈悲であった。ブレナンが破壊したこの惑星では、生命の樹のウイルスを遺伝子操作で改造したものを使って子供のいないプロテクターの軍隊を作り、侵略してきたパク艦隊との戦闘を行った(前述の小説参照)。ブレナンにとっては数十万の罪のない人々の死よりも、地球にいる彼にとって守る対象の人類全体が生き残ることのほうが論理的に見合うことだった。なおニーヴンが後に発表した小説ではホーム星は再入植がなされたことになっているが、生命の樹のウイルスをどのようにして生態系から取り除いたかは説明されていない。 ニーヴンは未来史の作品『リングワールドの子供たち』でARMの活動について多くのことを描いている。それによればARMの背後には少なくとも一人のプロテクターがおり、また長命薬(ブースタースパイス、人類の寿命を飛躍的に延ばすもの)は生命の樹からもたらされたものであることが示唆されている。
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