ファタ・モルガーナとは? わかりやすく解説

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モーガン・ル・フェイ

(ファタ・モルガーナ から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/19 01:43 UTC 版)

フレデリック・サンズ英語版の1863年と1864年の間の絵画『モーガン・ル・フェイ』。バーミンガム美術館所蔵。

モーガン・ル・フェイ英語: Morgan le Fay)は、アーサー王物語に登場する女性。多くの作品で、アーサー王の異父姉にして魔女として知られる。

名称

モーガン・ル・フェイは現代英語読みで、古い読みではモルガン・ル・フェという。その呼称は『妖精モルガン』という意味。「大いなる女王」の意味を持つケルト神話女神モリガンと同一視される。ケルトでは、三相一体の三は聖なる数字とされており、三がさらに三つある九は究極の数字とされ、九姉妹(詳しくは九人の魔女を参照のこと)の長女として、モルガン・ル・フェを扱っている。

イタリアではファタ・モルガーナ(Fata Morgana)と呼ばれ、彼女がメッシナ海峡に作り出した蜃気楼が船乗りを惑わせ船を座礁させてしまう伝説が残されている。

魔女として

エドワード・バーン=ジョーンズ1898年の絵画『アーサー王の最後の眠り』の細部。ポンセ美術館所蔵。
重傷を負ったアーサー王とアヴァロンを統治する姉妹たち。

マーリンの生涯』(Vita Merlini)

モーガン(モルゲンや妖精モルガナ)に関連する初出の文献。

伝説の林檎の島・アヴァロンを統治する九姉妹の長姉で、他の姉妹よりもずっと美しく、役立つ知識・医術・美しい声を持つ歌姫。変身能力があり、ダイダロスのように翼を使って空を飛翔できた。他の姉妹に学問を教えた。タリエシンも随行した船で、カムランの戦いで重傷を負ったアーサー王をブリトン人らの助けを借りてアヴァロンへ連れて行った後、部屋を用意し、アーサー王を金のベッドに寝かし、治癒の力で治癒した。

散文ラーンスロット』(Prose Lancelot)

12世紀末モーガンにはアーサーの姉という出自が加えられ、シトー派の修道僧により書かれた『散文ラーンスロット』では弟のアーサーとの近親相姦などのネガティブな要素が追加された。

アーサー王の死』(Le Morte d'Arthur)

15世紀後半以降の文献。黒魔術を使う邪悪な魔女へ変更され、ティンタジェル公ゴルロイスとその妻イグレインとの間に生まれた三女の末娘とされた。

母イグレインがアーサーの父ユーサー・ペンドラゴンと再婚した後、キリスト教修道院にて修行、魔術に通じ、修道院での堕落した教育で不思議な妖術を突然身に付け、異父弟アーサーの前に立ちはだかる。後に魔法使いマーリンは、彼女が魔力を磨くのを手伝い始める。

モルガンはアーサーの純粋な心を嫌悪し、アーサーとグィネヴィアの陥害と王位奪取を企むことを知り、アーサー王の最強の敵となる。円卓の騎士の一人、ランスロットの妻となるペレス王の娘エレイン姫の美しさを妬み、彼女を幽閉しランスロットを誘惑した。また、聖剣エクスカリバーの魔法の鞘(傷を癒す力と持つ者を不死にする力を誇る)をアーサーから盗み、恋人であるアコーロンに与えたことからアーサーがアコーロンを敵にまわして戦う窮地に陥った。後にモルガンが魔法の鞘を湖の中に投げ込んだが、これによってエクスカリバーはアーサーを守る不死の力を失い、やがてアーサーはモルゴース(モルガンの姉)との間の不義の子であるモルドレッドとの戦いで命を落とす事になる。作品によってはモルガンとモルゴースは同一人物として描かれる事もある。

ガウェイン卿と緑の騎士』(Sir Gawain and the Green Knight)

1300年代後半の文献。「女神モルガン」と呼称され、グィネヴィアの女官と医師を担当。

王の甥ジオマールとの恋がグィネヴィアの阻止を受け入れた事で不成立に終わり、これが原因でグィネヴィアを憎んだ。後にグィネヴィアとランスロットの情事をアーサー王に密告する。また、緑の騎士をキャメロット城に送りグイネヴィアを恐怖で縛る(緑の騎士はモルガンの魔法により不死の身体を持つ緑の装束の謎の騎士。円卓の騎士を試すためアーサーたちの前に現れた)。

後に円卓の騎士のガウェインが自身の誘惑に屈しなかったため、彼を「女神の騎士」に変える。女神モルガンを象徴する五芒星と緑のベルトを身に付け、粗野で好色な自慢家として一生を終える。

巫女として

以上は、キリスト教説話としての性質も色濃く見られるアーサー王伝説の中での表現であるが、現代的な視点からは、ケルト人ドルイド信仰をはじめとするキリスト教以外の信仰に根ざした文化圏に属する民族と、キリスト教価値観との文化的な衝突を、モーガン(土着文化の民族)とアーサー(キリスト教に立脚した支配者)という二人の人物像に仮託した伝承であると見ることもできる。

伝承中ではアーサーは死に際し、キリスト教ではなく民族の王として、ドルイド信仰の伝説の聖地アヴァロンへと夜の湖の上を去っていくが、一説ではこの時アーサーを迎えに来た三人の妖精の女のうち、一人はモーガンであったとも語られる。湖の乙女のヴィヴィアン(Viviane)と同一の大女神から派生した女神といえそうである[1]

このような「古い文化圏の巫女」としてのモーガンの性質に注目してアーサー王伝説を捉え直したフィクションに、マリオン・ジマー・ブラッドリーファンタジー小説アヴァロンの霧』などがある。

モーガン・ル・フェイが登場する作品

脚注

  1. ^ 金光仁三郎監修『知っておきたい世界の女神・天女・鬼女』137頁。

参考文献

関連項目


ファタ・モルガーナ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/06/16 02:22 UTC 版)

グリーン・ブラッド」の記事における「ファタ・モルガーナ」の解説

惑星ゼラ七不思議、ダズモーグ山塊超えたところに逃亡したGB達がひっそりと暮らす「モルグ・ハムレット」というがあるという噂が流れていた。ある行き倒れGBの女が、その幻のから交易出ていたコーバン拾われる。そしてそのにはレパ達3人がかくまわれていた。 同じGB仲間として彼女を受け入れレパ達だが、彼女の口からは「あなた達起こした事件のせいでパルマノーヴァ働いていたGB達は皆殺しにされ、街では抹殺目的としたGB狩り始まった」と告げられショックを受ける。 だが、砂漠遭難したGBにしては不審な彼女の様子落し物拾いにいくといって戻らないままのコーバン数々不審材料からリュイイフェは彼女が人間スパイではないか疑い始める。しかし純真なレパ仲間を疑う彼らを諌める。 だが谷底コーバンの干からびた死体が見つかると状況一変村人たちは彼女がGB裏切ったスパイであると断定しを守るために抹殺決断するが、レパ動揺しつつも反対する。しかし、包囲された彼女は傷口から流れる赤い血を見せて自分GB扮し人間である事を明かす形勢逆転村人たちは「本能」により彼女を殺すことができず、このまま彼女の逃走阻む事はできない思われたが、レパその場で彼女を手にかけ、村人達に対しを守るために仲間であるGBを殺さねばならないハメ陥るくらいなら、GB達の未来のために自分人間たち進んで戦う」と告げ出て行くその後イフェリュイ追いかけていった真の旅立ち始まったのである

※この「ファタ・モルガーナ」の解説は、「グリーン・ブラッド」の解説の一部です。
「ファタ・モルガーナ」を含む「グリーン・ブラッド」の記事については、「グリーン・ブラッド」の概要を参照ください。

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