ピアノとの違い
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/22 03:08 UTC 版)
ピアノと比較した場合、以下のような特長がある。 デジタル楽器であり音程はきわめて正確である。一般的なデジタルピアノは、設計時に調律された、デジタル合成された実楽器の音源を発振元とすることで、温湿度や経年変化などの物理的な影響をほとんど受けず、利用者による調律の必要がない。この特徴は、ソフトウェアによる音の変化と相性が良く、多くの機種にトランスポーズやチューニング機能が組み込まれている。ただし、混合されうる概念として、音叉型水晶振動子などをオシレーターとしたアナログ回路を利用した楽器をデジタルピアノと説明する場合もあるが、音の特徴は類似するが、発振元(オシレーター)がアナログであるために、楽器の構造が本質的に異なる。 弦やそれを支えるフレームなどの大掛かりな機械的部品がないので、軽量・コンパクト。したがって概ね低価格になる。 内蔵アンプで簡単に音量を変えられる。また、通常ヘッドホン出力を持っており、夜間の練習や騒音問題による近所トラブル回避のこともデジタルピアノが選択される大きな理由となっている。 デジタルピアノには、演奏(キーを押すタイミングや速度など)をデータとして記録・再生出来るものも多く、手軽に自分の演奏を聴き直して客観視したり、連弾の練習をしたりする事が出来る。多くの場合、MIDIに対応している。 必須ではないが、多くの機種では、エレクトリック・ピアノを含む複数種類のピアノ音色や、ピアノ以外の楽器音、演奏を補助する為のリズム(自動伴奏)を内蔵し、練習を支援するためのメトロノーム、内蔵曲のレッスン機能などが搭載されている。収録されている楽器音が多い機種はシンセサイザーとして使う事が出来るが、キーボードがピアノタッチのため重たい。 一方、以下のような弱点もある。 発音源がスピーカーであり、大面積の響板と物理的な打撃を主な音源とするピアノとは音の広がりや豊かさに本質的な違いがある。 現在のデジタルピアノはPCM音源を用いているものが主流であるが、PCM音源の原理上、音量・音色の変化はなめらか(=アナログ的な変化)ではなく段階的に変化(=デジタル的に変化)する。 大規模集積回路(LSI)が使われているとその部品自体の修理が一般の工房では出来ないため部品自体の交換が必要になるため、部品の供給がなくなったら修理が出来ない。これに対してピアノは、部品自体を一般の工房で作ることができるため、部品が故障、磨耗、変質、破損しても、木材、金属、布などの素材から再生、修理が可能である。 デジタルピアノ(とピアノ)を製造しているメーカーでも、幼児の入門楽器にはデジタルピアノよりもピアノのほうがふさわしいとしていることがある。
※この「ピアノとの違い」の解説は、「電子ピアノ」の解説の一部です。
「ピアノとの違い」を含む「電子ピアノ」の記事については、「電子ピアノ」の概要を参照ください。
- ピアノとの違いのページへのリンク