ドラに関する戦略
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/31 00:49 UTC 版)
手作りにおいては、役をつけるのと同様にドラの利用も重要である。特にスピードを優先する現代の麻雀においては、手役よりもドラを大事にする傾向が強い。例えば手作りの過程で搭子選択に迫られた場合、ドラがらみの両面とドラがらみでない両面のどちらを残すかと言えば、やはり多くの場合ドラに絡む方を残す。また、くっつきテンパイの形になった場合、ドラおよびドラソバ(ドラの隣接牌)はくっつき候補として温存するケースが圧倒的に多い。実際、実戦で下のような牌姿になった時に何を切るかと言えば、多数派となる打牌候補はいずれも1つしかない。 (例)5巡目、東1局の東家、他家に動きなし、1牌切って両面と三面張の一向聴となる形 ツモ ドラ表示牌萬子の三面張を嫌う理由はなく、筒子のドラ搭子を嫌う理由もないとすれば、索子の下メンツを払うという選択肢しかない。 (例)5巡目、東1局の東家、他家に動きなし、1牌切ってくっつきテンパイとなる形 ツモ ドラ表示牌この形になった以上、三索切り以外の選択肢はないと言ってよい。 ドラを有効活用しようとするのは相手も同じである。そのため、ドラおよびドラソバは概して危険牌の筆頭と見なされる傾向にある。もちろんあくまで「そういう傾向がある」というだけで、いつもいつもドラ周辺が危険というわけではない。例えば字牌のドラや端牌のドラはこの限りではないし、ドラまわりの面子が先に完成する可能性も低くはない。1つ目の牌姿例で言うなら、筒子のドラまわりを先に引く形でテンパイすることになった場合、ドラとはまったく関係のないエリアが待ち(危険牌)になるということである。その場合ドラソバは実は危険牌ではなかったということになる。 加えて、ドラの扱い方は個々の打ち手によって微妙に異なる。スピードを最優先する打ち手であれば、不要なドラは比較的早い段階で切り出す。一方、スピードよりも打点やバランスを優先する打ち手であれば、多少遠回りになる可能性があることがわかっていてもドラを抱える。例えば下の牌姿、 (例)ドラの二筒を切り出すか否か、打ち手によって選択は異なる ツモ ドラ表示牌 この牌姿では、ドラの二筒は牌効率を考えれば不要である。このあと先に索子部分が完成すれば、最終形は嵌三筒ではなくのリャンメンに受けるからである。したがって、三筒引きを期待して二筒を残し、かわりに七索を切るという選択は牌効率に反する。しかし、いずれは七索を切ってに受けるであろうことを考えれば、不要なのはドラの二筒より七索ということになる。したがって二筒を残して七索を先に切り、平和を確定させた上でドラを抱える。三筒を先に引き入れることができればタンピン赤ドラをダマテンで待つことができるし、その前にドラが重なる可能性もあるという考え方である。どちらが正しいかは簡単には決定できず、打ち筋の違いとも言えるし、好みの問題とも言える。 局単位では、ドラの出方で相手の手の内の状態を推理することも可能である。例えば中盤8巡目に、初心者ではない打ち手が字牌のドラをそっと切り出したとする。となれば、彼はそこでテンパイしたか、少なくともテンパイが近い充分形になっていると読むのはおかしなことではない。 (例)8巡目、東家、ドラは生牌、1枚切って一向聴となる形 ツモ ドラ表示牌赤牌が2枚あり、タンピン三色まで見える。このような牌姿では、オタ風のドラなど自然に押し出される。 ここまで強力な牌姿でなくても、両面と両面の一向聴になった時点で不要なドラが切り出されるのは、比較的よくあるありがちなパターンと言える。その際の判断は、「これ以上抱えておくのは危険」という判断かも知れないし、もっと単純に「タンヤオに字牌や端牌は不要」という判断かも知れない。あるいは、切り出した打ち手がまだビギナーのレベルなのであれば、「ドラということを忘れてうっかり切った」「ドラだということを見てなかった」「ドラだとわかってはいたが二向聴にもなっていない状態で放流した」等、色々な可能性がありうる。 また、本来ならば使い勝手が良いはずの中張牌のドラが早々と切り出されるケースもある。こういった場合もっとも可能性が高いのは、下例のように他の色の染め手が入っているケースである。 (例5)5巡目、東家、他家に動きなし ツモ ドラ表示牌索子の染め手に萬子のドラは不要であり、いずれ切る牌ならば相手の手が整う前にさっさと切ってしまったほうが良い(無論一概にそう言えるわけではないが)。 もちろん他にも可能性は考えられる。国士無双に向かっていればドラであろうと中張牌はいらないし、ジュンチャン三色が見えていれば四五六のドラは不要である。 以上のように、ドラの扱いや切り出しには色々なパターンがある。もちろんここにある数例はあくまでいくつかある典型のうちの一部にすぎないし、どのような状況でどのような打ち手がどのようにドラを扱うかは、まさにその場その場の局面(点棒状況や捨牌相、心理状態なども含めた場況)にも左右される。また、ドラの扱い方や切り出しだけで対戦相手や局面のすべてを判断できるものでもない。しかし、一つの重要な判断材料にはなりうる。したがって、どのようなパターンが多く見られるか、どのようなパターンがありうるかを押さえておくことは、麻雀の腕を上げるに当たって有効な手段と言える。
※この「ドラに関する戦略」の解説は、「ドラ (麻雀)」の解説の一部です。
「ドラに関する戦略」を含む「ドラ (麻雀)」の記事については、「ドラ (麻雀)」の概要を参照ください。
- ドラに関する戦略のページへのリンク