トロリーバス技術の最新動向
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/07 14:43 UTC 版)
「トロリーバス」の記事における「トロリーバス技術の最新動向」の解説
現在はバス低床化が進んでおり、イリスバス社のCristalisなどのようにインホイールモーターを用いたノンステップ車が開発されている。 また、景観上の問題その他で架線の張れない区間用に新しいデュアルモード車も開発されている。ディーゼル 発電機を搭載したトロリー給電とのハイブリッド型やバッテリー技術の向上による蓄電池を搭載した車両が開発され、架線のない道路でより長距離を走行できるようになった。ディーゼル発電機を搭載したハイブリッドトロリーバスは、ニュージーランドやアメリカ ボストンのシルバーラインで採用されているネオプラン社製のものや、主にフランスで採用されているイリスバス社製のCristalisがある。中国ではバス停に併設された給電軌条にパンタグラフを押しつけてバス停で電池に充電する車両が実用化されている。イタリアでは一時期磁力ピックアップ方式による路面給電式のトロリーバス (Stream) が試験運転されたが、こちらは成績が芳しくなく本格採用には至っていない。ローマのトロリーバスは、終端のテルミニ駅付近の往復3キロメートルに架線が張られておらずバッテリーで走行している。 もう一つの技術革新は、ハンドル操作が不要のガイドウェイ技術の導入である。ドイツで一時期運行されていたローラー式に代わって、21世紀初頭には非接触のガイドウェイ式トロリーバスが試作されている。代表的なものは、光学式と磁力式である。光学式は地面にペイントされた白線をカメラで読み取って操舵するものである。磁力式は地面に埋め込んだ磁石を頼りに操舵するものである。前者はイリスバスのCIVISなど、後者はオランダのPhileasで採用されている。CIVIS・Phileasともに電気駆動のハイブリッドバスとして設計されており、トロリー給電のほか、ディーゼル発電のバスとして走行することも可能である。なお、CIVISはディーゼル発電のみのバス仕様のものしか採用されていない。 フランスのナンシーではボンバルディア・トランスポーテーションが開発した“TVR”というシステムのゴムタイヤトラムが採用されている。これは一本の案内レールに沿ってゴムタイヤで走行する路面電車に近いものだが、一部区間は案内レールがなくトロリーバスのような走行をしている。ただし、案内レールへの接続トラブルが頻発したため、TVRはナンシーとカーンの2都市のみの採用に留まっている。また、ガイドレールのカーブ区間で脱輪する事故が相次ぐなど、高速走行ができないという欠点も指摘されている。 また、近年普及しているハイブリッドバスの技術開発はトロリーバスにも大きな影響を与えているが、特にトロリーバスへのディーゼル発電機やバッテリーの搭載は、ハイブリッドバスや非接触充電式のバッテリーのみで走行するバスに比べ、頻繁な充放電による電池の劣化が少なく電池交換のコストが低い点で評価できる。
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