トランスジェンダーに関する発言
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/30 14:04 UTC 版)
「J・K・ローリング」の記事における「トランスジェンダーに関する発言」の解説
ローリングは近年トランスジェンダーに対して自身の意見を展開し発言を行っている。2020年6月7日、自身のTwitterで「生理のある人」との見出しの付いた記事を引用し、その表現は身体女性に対し侮辱的だと非難した。また同日には「もし生物学的性別が本物でなければ同性愛は存在しない。もし生物学的性別が存在しなければ世界中の女性達の生きた存在が消されてしまう。真実を話す事は差別ではない」とし、トランスジェンダリズムの推進する「生物学的性別(sex)より性自認(gender identity)を尊重する」姿勢に対して抗議を示した。 ローリングによれば、かつて自身が性暴力の被害者となった経験から、女性達の安全を保護する為にも生物学的性別での区別は必要だと考えるようになったとしている。 他にも彼女は自身のサイトで多数のトランスジェンダーの活動家から誹謗中傷や殺害予告などの脅迫を受け取っていると訴え、また「女性は衣装ではない。女性は男性の頭の中の考えではない。女性を『生理のある人』や『陰部を持つ人』と呼ぶ言葉は多くの女性を非人間的で卑劣な物に貶めている。」とした。 この一連の発言は主にSNS上で多数の非難を受けている。その中には自著の映画に出演している俳優たちも含まれる。ダニエル・ラドクリフは「トランスジェンダーの女性は女性だ。これに反する発言は彼らの尊厳を傷付けている」と批判。また『リリーのすべて』でトランスジェンダーを演じたエディ・レッドメインやエマ・ワトソン もこれに続いてローリングを批判した。 2020年9月に出版された「私立探偵コーモラン・ストライク」の新刊「Troubled Blood」には、犯人が女装をトリックとして用い変装して犯行に及んだという描写を入れた事がトランスジェンダーに対し差別的だとして非難された。ただしこのキャラクター自体は作中でトランスジェンダーとして描かれている訳ではなく、ミステリー小説において犯人がトリックで異性装を用いたという描写は実際に珍しい物ではない。 2021年11月、Twitterで3人のトランスジェンダー活動家により自宅の住所を写真で晒されたことを明らかにし、家族にも危害を及ぼしかねない悪質な嫌がらせだとして抗議した。また一連の批判と因果関係は不明だが、2022年1月にHBO Maxが制作した特別番組『ハリー・ポッター20周年記念:リターン・トゥ・ホグワーツ』には、映画版の歴代キャストやスタッフが集結したが、原作者であるローリングは出演しなかった。これに関してはネット上でキャンセル・カルチャーだとして番組の制作側に批判の声が集まった。 2022年3月25日、ロシア連邦大統領のウラジーミル・プーチンはビデオ会議の中でロシアによるウクライナ侵攻に反発した西側諸国のキャンセル・カルチャーに触れた際、プーチンはローリングのトランスジェンダー発言によるキャンセル・カルチャーの事例を引き合いに出した上で「世界中で何百万部も売り上げた本の作家であるJ.K.ローリングは、いわゆる『ジェンダーの自由』支持者の気に障ったが為にキャンセルされている」と彼女を擁護した。 以前からチャリティー団体などを通してウクライナ政府と連携し、自身も100万ユーロをウクライナへ寄付してきたローリングはプーチンの発言に強く抗議し「#IStandWithUkraine」のハッシュタグを添付したツイートをTwitterに投稿してウクライナ支持の意思を表示した。また、2022年4月8日にはローリングの意向により、ロシア国内で流通しているハリーポッターシリーズの電子書籍販売を停止することが同月6日に同国メディアから報じられた。
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