デウス・エクス・マキナ
*関連項目→〔神〕
★1.機械仕掛けの神。苦境にある作中人物の所へ現れて、一瞬のうちにすべてを解決してくれる神。
『オレステス』(エウリピデス) オレステスは、母殺し(*→〔母殺し〕1の『エレクトラ』)の罪で死刑を宣告される。彼は自らの正当性を訴え、自分を助けようとしなかった叔父メネラオスを恨んで、その妻ヘレナを殺し、娘ヘルミネオを人質として、死刑を免れようとする。その時、高所にアポロン神が現れ、ヘレナは無事で天界にいること、オレステスは国外に去ってヘルミネオを妻とすべきことを告げ、メネラオスとオレステスを和解させる。
『タウリケのイピゲネイア』(エウリピデス) イピゲネイアがタウロイの国の神社の巫女となっているところへ、弟オレステスとその友ピュラデスが生贄にされるべく、捕らわれて連れて来られる。イピゲネイアはタウロイの王を欺いて、弟たちとともに船で逃げ、王は怒って後を追おうとする。その時上空に女神アテナが現れ、「すべて神意であり天命であるゆえ、イピゲネイアらをそのままアテナイへ行かせよ」と説く。
『天道さん金ん綱』(昔話) 山姥が、3人の子供のうちの1人を食い、2人が逃げて桃の木の上に登る。山姥も木を登って来るので、子供たちが空を見上げ「天道さん、金ん綱」と呼ぶと、がらがらと音がして天から鉄の鎖が下がる。子供たちは鎖につかまって天に昇る。
*神のごとき存在であるライオンが、猫たちのトラブルを一蹴する→〔猫〕10。
★2.苦境にある作中人物に救いの手を差しのべる、貴人・超人など神のごとき存在。
『廓文章』 遊蕩ゆえ勘当された藤屋伊左衛門が、落ちぶれた紙衣姿で、師走の餅つきの日に吉田屋を訪れ、恋人夕霧に逢う。伊左衛門は、「夕霧が心変わりした」と恨みを言い、2人は痴話喧嘩をする。そこへ、「勘当が許された」との知らせとともに、夕霧を身請けするための千両箱が運びこまれる。
『三文オペラ』(ブレヒト) 盗賊団長マクヒスが乞食頭ピーチャムの娘ポリーと結婚する。ピーチャムは怒って警察にマクヒスの居所を密告し、マクヒスは逮捕されて絞首台に立つ。そこへ女王の使者が来て、マクヒスを恩赦し、さらに、「マクヒスを貴族に任じ、年金を与える」と告げる。
『タルチュフ』(モリエール) 富裕な市民オルゴンは偽善者タルチュフにだまされ、全財産を取り上げられる。さらにタルチュフは、オルゴンを国王陛下に告訴し、警吏を連れて来てオルゴンを逮捕させようとする。しかし国王陛下は、タルチュフが手配中の詐欺師であることを先刻承知だった。警吏は国王陛下から、「オルゴンでなくタルチュフを逮捕せよ」との命令を受けており、オルゴンは危ういところを救われ、財産も失わずにすんだ。
『天守物語』(泉鏡花) 姫路城の天守夫人富姫と姫川図書之助(*→〔鷹〕1b)を討つべく、兵たちが天守閣の最上層へ攻め上る。富姫と図書之助は、獅子頭の母衣(ほろ)に入って、討手に立ち向かう。討手は獅子頭の目をつぶし、それと同時に富姫と図書之助の目も見えなくなる。2人が自害しようとするところへ、老工人近江之丞桃六が現れる。彼が鑿(のみ)で獅子頭の目を開けると、富姫と図書之助の目も開く。
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