ティワナク期および関連する現代先住民の遺伝的系統とは? わかりやすく解説

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ティワナク期および関連する現代先住民の遺伝的系統

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/04 14:44 UTC 版)

ティワナク」の記事における「ティワナク期および関連する現代先住民の遺伝的系統」の解説

ティワナク遺跡がある同地には、現在アイマラ族呼ばれる人々住んでいる。しかし、アイマラ族ティワナク文化担った人たちとの関係は、科学的にはまだ証明されていないティワナク社会担っていた人々については、アイマラ説、プキーナ語族説など様々な説があるが、確定されていない近年ウイルス学分子遺伝学研究がすすみ、ティワナク期の人骨分析が行われている。日本もこの調査参加している。 日本愛知県がんセンター研究所疫学部の田島和夫教授を代表とする、科学研究費補助金国際学研究)(研究課題番号 07041171,09041195)に基づく、「南米先住民族人類遺伝学研究(Anthropo-genetics on Paleo-mongoloid in South America)」が平成7年度から10年度にかけて行われた園田俊郎田島和雄、故宝来聡らは、チリアタカマ砂漠出土ミイラティワナク期)からヒトヘモグロビンβ鎖遺伝子、およびHTLV-IヒトT細胞好性白血病ウイルス遺伝子pX領域の158bp)の抽出成功している。両遺伝子についてはクローニングすることで、塩基配列決定し、ヒトヘモグロビンβ鎖遺伝子についてはまった変位見られず、HTLV-IプロウイルスpX領域158bpの遺伝子では現存する先住民2つの型日本人型と1塩基変異型)に大別されミイラのそれは日本人ウイルス同型であった、という。さらにミイラ骨組織から採取したミトコンドリア遺伝子の塩基配列から現存する先住民族ミイラ類似した分布様式を示すことを明らかにした。 また、日本におけるミトコンドリアDNA研究第一人者であった総合研究大学院大学の故宝来助教授チリ人類学者ルイス・カルティエールらが、日本本土沖縄アイヌ、他のアジア諸国DNA、および、南米先住民チリ、ボリビアコロンビアブラジルなどに現存する6部族178人)、ティワナク期のミイラの骨標本56体分について、DNA分析行っている。 特に、南米先住民および古代人骨の合計234分の420bpの塩基配列比較したところ、77異なタイプ見られた。現存する先住民における集団間塩基配列の偏位は相対的に大きくなるが、ミイラ間ではその隔たり極めて小さくなるという。これら集団間系統樹分析によると、ミイラ場合、4個の単系統分類されるが、大別すると南ペルー群と北チリ群に2分される。 チリアタカマ砂漠出土標本ティワナク期)から採取したDNAは、現在のアイマラ先住民系統的には最も近くペルーティワナク関連人骨では現存するケチュア近くチリ出土ティワナク関連人骨は、チリ出土インカ関連人骨サンプルDNAに近いという結果出ている。 また、チリ研究者Francisco Rothhammerによればボリビアティワナク遺跡から出土した18体のサンプルのうち、これらのミトコンドリアDNA13タイプにわかれ、それらを現存するアイマラケチュアアマゾン地域DNA比較したところ、アイマラアタカマ砂漠出土ミイラDNA近くティワナクアマゾン地域先住民DNAに近いという。ティワナク人骨DNAは、系統樹によればアイマラとはやや離れており、むしろケチュアに近いという。ただし、これについては、研究者自身が、そのサンプル数が少ないという問題点があることにも触れている。 考古学的に見ればアタカマ砂漠人骨果たして、ボリビアティワナクそのもの住んでいた民族集団と同じ系統かどうか疑問残っているが(DNA研究でもチリ共和国アタカマ砂漠遺跡出土人骨から得たDNAと、ボリビア多民族国ティワナク遺跡出土人骨から得たDNAでは系統樹から見ればやや離れている)、その問題に迫る非常に重要な結果となっている。 考古学的遺物様式分布から、ティワナクは一集団による政治体制ではなく複数民族集団による政治体制であったとするモデルもあるが、ウイルス学遺伝学からの結果は、それを裏付けるとなっている。 ただし、注意しなければならないのは、必ずしも遺伝的形質的形態と文化考古学的な物質文化)は、同じではないということである。ある文化共有する集団内部でも、周囲集団との(一部における)通婚とおして遺伝的形質差異生じうることも考慮しなければならない日本人でも、細かく見れば遺伝的形質差異があり、地域ごとにかなり異なっているというのが、よい例である。

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