タイ国鉄への新車輸出車両
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/29 09:51 UTC 版)
「国鉄10系客車」の記事における「タイ国鉄への新車輸出車両」の解説
タイ国鉄では、1940年代の終わりより日本の鉄道車両メーカーより多数の客車を輸入していた。これらは、日本国鉄の43系客車などを基礎としつつ、タイ国鉄独自の建築限界に適応した設計となっているが、1960年代中頃から輸入された車両については、基礎となる車両が軽量化技術を取り入れた日本国鉄の軽量客車(本形式10系列)に変更されている。1970年代からは、タイの輸入代替工業化の進展を図る観点より、同国内において車体の製造および組み立てを行うことが決定。日本からの台車・台枠の提供により、1984年頃までタイ国鉄自社のマッカサン鉄道工場にて多数の同型車が増備された。二等寝台車、三等座席車、荷物車ほか複数の種類があり、これらの車両の主な特徴は次のとおり。 ウィンドウ・シル/ヘッダーのない車体側面、側窓を拡大し四隅にRを設ける等の特徴は日本の国鉄軽量客車と共通。 車体断面形状は、タイ国鉄の車両定規に合わせるため、車体幅はやや狭く(三等座席車で2.7 m)、全車種とも車体裾を絞っている。 車体長は19 m(連結面間距離19.8 m)とやや短い。 座席は車体と車幅の縮小の分加減されている。三等車は日本同様の4列(2+2)席と5列(2+3)席の二通りがあり、5列席車については肘掛けが全くない。 出入台は車端部に配置し、日本の国鉄オハ35系以前の客車と同様に出入台・妻部の幅は絞り込まれている。 自動連結器の周囲に枠状の緩衝器(バッファー)を装備。 基本設計のもととなった日本国鉄の10系列と同じく空気ブレーキを装備するほか、同国に従来から在籍する機関車や客車と連結するためにかつてのタイ国鉄標準の真空ブレーキも装備し、いわゆるデュアルブレーキ仕様となっている。 台車はTR50の系統ではなく、ウイングばね式のDT21に近い外観を呈する。ただし軸距が2,000 mmと短く標準の車輪径も異なり、別設計である。また先述の真空ブレーキの都合上、車体ブレーキシリンダー方式である。製造は車体と同様、日本の鉄道車両メーカー各社であるが、1970年代にタイ国鉄が自社製造を開始した際に用意された台車は川崎重工業製。なお、1980年代にタイ国鉄自社で製造された一部車両の台車にはルーマニアのアストラ・バゴアネ・アラド(ルーマニア語版)製、もしくは中華人民共和国製のものを使用している。 これらの車両のうち初期に導入されたものの中には、JR西日本から余剰となった12系・14系・24系などの冷房付き車両が中古で導入されることにより置き換えられ、運用から離脱したものも存在する。
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