スプライセオソーム
この記事は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。2023年1月) ( |
スプライセオソームまたはスプライソソーム(英: Spliceosome)はタンパク質とRNAの複合体で、転写されたmRNA前駆体からイントロンを取り除いて成熟RNAにする機能を持つ。この過程はPre-mRNA スプライシングと呼ばれる。
それぞれのスプライセオソームは、5つの核内低分子リボ核タンパク質(snRNP)といくつかのタンパク質因子から構成されている。
スプライセオソームを構成するsnRNPはU1、U2、U4、U5、U6と名づけられ、RNA-RNA間相互作用やRNA-タンパク質間相互作用に関係している。snRNPのRNA部分はウリジンに富んでいる。
mRNA前駆体はスプライセオソームに認識され、再配列を起こさせる特異的な配列を持っている。これは、5'末端スプライス部位、分岐点配列(BPS)、ポリピリミジン領域、3'末端スプライス部位からなっている。スプライセオソームはイントロンの除去を触媒し、エクソン同士を連結させる。
イントロンは、5'末端側にGTの配列、3'末端側にAGの配列を持つ場合が多い[1]。3'末端側には他に様々な長さのポリピリミジンもあり、3'末端やBPSに補因子を引き寄せる働きをしている。BPSには、スプライシングの初期段階に必要になる保存されたアデノシン残基がある。
選択的スプライシング
選択的スプライシングは真核生物にとって遺伝的多様性を高めるための重要な手段である。このようにしてできたスプライシングバリアントは、ヒトゲノムの中の遺伝子がタンパク質数と比べて少ないことを説明できる。長年の間ヒトには10万個ほどの遺伝子があると見積もられてきたが、ヒトゲノム計画によって実際には2万個程度の遺伝子しかないことが明らかとなっている。1つの遺伝子が3万8000通りもの異なるmRNAにスプライシングされることがあると言われている。
出典
- ^ 田村隆明・山本雅著 『分子生物学イラストレイテッド』 羊土社 2009年3月10日第3版発行 ISBN 9784758120029 p.148
スプライソソーム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/04 09:44 UTC 版)
「核内低分子RNA」の記事における「スプライソソーム」の解説
スプライソソームは、真核生物のpre-mRNAの成熟に不可欠な段階であるスプライシングを触媒する。スプライシングの誤りは、たとえ1ヌクレオチドであっても細胞にとって壊滅的な影響を与えるため、RNAのプロセシングが高い信頼性で繰り返し行われることが細胞の生存には必要である。スプライソソームは、5つのsnRNA (U1、U2、U4、U5、U6) と150以上のタンパク質から構成される巨大なタンパク質-RNA複合体である。snRNAは、その結合タンパク質とともにsnRNPを形成し、pre-mRNA基質の特定の配列に結合する。スプライソソームによるスプライシングの複雑な過程は2段階のエステル交換反応によって行われ、遊離したラリアット (投げ縄) 構造のイントロンを作り出されるとともに、2つのエクソンがライゲーションされて成熟mRNAが形成される。スプライソソームには2つのクラスが存在する。主要なクラスであるメジャースプライソソーム (major spliceosome) は、真核細胞でははるかに豊富に存在し、主にU2型イントロンのスプライシングを行う。スプライシングの最初の段階は、U1 snRNPとその結合タンパク質のhnRNAの5’スプライス部位への結合である。これによって commitment complex が作り出され、hnRNAがスプライシング経路へ拘束される。そして、U2 snRNPがスプライソソーム結合部位へ呼び寄せられてA複合体 (complex A) が形成され、その後U4/U6.U5 tri-snRNP複合体がA複合体に結合し、B複合体 (complex B) として知られる構造を形成する。複合体の再構成の後、C複合体 (complex C) が形成されてスプライソソームは触媒活性を有するようになる。触媒活性を有するスプライソソームのU2とU6 snRNAはフォールディングし、catalytic triplex と呼ばれる保存された構造を形成する。この構造には2つのマグネシウムイオンが配位し、スプライソソームの活性部位が形成される。これはリボザイムの一例である。 この主要なスプライソソーム複合体に加えて、非常にまれな (~1%) マイナースプライソソーム(英語版) (minor spliceosome) が存在する。この複合体は、U11、U12、U4atac、U6atac、U5 snRNP から構成される。これらのsnRNPは、メジャースプライソソームで用いられるsnRNPの機能的アナログである。マイナースプライソソームはU12型イントロンのスプライシングを行う。2種類のイントロンは、主にスプライシングの部位が異なる。U2型のイントロンは5'と3'のスプライス部位にGT-AGという配列を持つが、U12型のイントロンはAT-ACという配列を持つ。マイナースプライソソームは、メジャースプライソソームとは異なる経路でその機能を果たす。
※この「スプライソソーム」の解説は、「核内低分子RNA」の解説の一部です。
「スプライソソーム」を含む「核内低分子RNA」の記事については、「核内低分子RNA」の概要を参照ください。
固有名詞の分類
- スプライソソームのページへのリンク