ジェローム・ジャーニガンによる誘拐事件
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「ウォレス・ウィルキンソン」の記事における「ジェローム・ジャーニガンによる誘拐事件」の解説
1984年4月10日、ウィルキンソンはジェローム・ジャーニガンという男に誘拐されたとされた。1977年、ウィルキンソンはジャーニガンに、ベニヤ板を製造し国際的に輸出する会社、ジャーニガン・イクスポート・ティンバーInc.の立ち上げ資金を渡した。この会社は、1980年12月にジャーニガンが会社の経理担当者にしていた妻と離婚したころに消滅した。ジャーニガンの息子ビクターが1982年までウィルキンソンの別の会社で働き続けていた。ウィルキンソンに拠れば、誘拐のまえの数ヶ月間にジャーニガンはウィルキンソンの事務所を何度か訪れ、前の事業でウィルキンソンと取引した際に貸した金を返すよう要求した。ウィルキンソンは、要請された支払額を準備しようとしていたが、4月10日にジャーニガンの要請を断ったとき、ジャーニガンは4ページに及ぶ遺書を示し、続いて拳銃を見せてウィルキンソンに「私は貴方を第一に殺そうとしている」と伝えた。ウィルキンソンはさらにジャーニガンが拳銃を突きつけたまま、ウィルキンソンの所有するフランクフォートのクラウン・プラザ・ホテルに車で行くことを強制したと語った。二人はその夜をホテルで過ごした。その夜のいずれかの時点で、ウィルキンソンはグラスゴーのニュー・ファーマーズ・ナショナル銀行の頭取、ジェイムズ・オルドリッジと連絡を取った。この銀行の株主であるウィルキンソンはオルドリッジにできるだけ早く50万ドルを必要としていると伝えた。翌日、ウィルキンソンとジャーニガンは、ウィルキンソンが所有する別の会社、ウィルキンソン・フライング・サービスが運航する飛行機に乗ってグラスゴーへ飛んだ。ウィルキンソンが従業員に警報を出そうとするならば、ジャーニガンは従業員を殺すと脅したと、ウィルキンソンは後に語った。オルドリッジはグラスゴー市民空港でウィルキンソンが要請した金を持ってウィルキンソンとジャーニガンに会った。彼らが到着したとき、ウィルキンソンはジャーニガンに50万ドルを渡し、無傷で解放された。 ウィルキンソンは解放されると連邦捜査局に連絡し、ジャーニガンは同日にレキシントンで逮捕された。ジャーニガンが逮捕されたとき、拳銃を2丁、手錠を6組、現金40万ドルを所有していた。ジャーニガンは捜査員に、自分とウィルキンソンは昨夜クラウン・プラザに泊まり、以前の事業関係から生じた食い違いを片付ける交渉を行ったと語った。解決条件はウィルキンソンからの現金50万ドルの支払いであり、その一部はジャーニガンが以前行っていたのと類似したベニヤ板輸出事業を新しく立ち上げるためのものだったと主張した。ウィルキンソンはまた車1台、レキシントンの家具付きアパート、月給5,000ドルを支給するはずだった。ジャーニガンはウィルキンソンが50万ドルを払った後、解決策を取り消し、この出会いを犯罪として演じることに決めたと語った。ウィルキンソンはジャーニガンの陳述を否定し、後に回収された現金は、釈放のための身代金としてジャーニガンに要求されたと主張した。 数週間後、ジャーニガンはファイエット郡巡回裁判所にウィルキンソンを逆提訴した。ジャーニガンは損害補償金として5,000万ドルを請求し、自分とウィルキンソンのベニヤ板会社の利益を計算し、その半分を受け取ることも求めた。判事は、犯罪が起こったとされる場所が州の西部地区にあるグラスゴーだったので、審問をルイビルに移すことを命じた。州はジャーニガンを、誘拐と隠蔽武器携行罪で告発したが、連邦法の強要罪が優先されるので取り消した。ジャーニガンの法律相談者からの反対に対し、裁判所はジャーニガンに彼が弁護のために正気であるかあるいは精神的に不能であるかを判断する精神鑑定を行うよう命じた。裁判所が指名した精神鑑定家はジャーニガンに裁判に耐えるだけ有能であると判断し、25,000ドルの保釈金で5月下旬に保釈された。 ジャーニガンは保釈後、逮捕前に住んでいたレキシントンのコンティネンタル・インの部屋に戻った。1984年7月18日、ジャーニガンの息子ランディが部屋で死んでいるジャーニガンを発見した。検視ではジャーニガンが冠動脈アテローム性硬化を患っており、心臓病が公式死因の1つに上げられた。レキシントン警察は犯罪に関連する証拠は無いと判断した。ジャーニガンの元妻はウィルキンソンに対する訴訟を引き継いだが、ファイエット郡巡回裁判所判事は1986年に審判を取り下げる略式判決を下した。
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