シュルレアリスムとマルクス主義・共産党とは? わかりやすく解説

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シュルレアリスムとマルクス主義・共産党

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/08 23:33 UTC 版)

ピエール・ナヴィル」の記事における「シュルレアリスムとマルクス主義・共産党」の解説

彼はこのほか、複数作家・芸術家による毎回コラム「シュルレアリスム・テクスト」と「夢」記述、および芸術評論掲載しているが、ブルトン編集一手に担うことになった第4号から同誌をいったん離れ、次は2年半後(1927年10月)の第9-10合併自動記述特集号に夢の記述と「もっと良く、もっと悪く」を寄稿したのみである。1927年発表著書革命知識人所収の「もっと良く、もっと悪く」は、シュルレアリスト国際主義マルクス主義妥当性に関する検討促す内容であり、これは、ナヴィル1925年頃からマルクス・レーニン主義哲学研究し始めたことによる。まずはレーニン著書なにをなすべきか?』(1902年)、『国家と革命』(1917年)、カール・カウツキーの『プロレタリアート独裁』におけるボリシェヴィキ批判への反論プロレタリア革命と背教者カウツキー』(1918年)などに取りかかった1925年兵役服しオート=マルヌ県ショーモン駐屯する北アフリカ狙撃兵連隊配属された際にも共産主義者隊員との交流通じて理解深めた。だが、規律への不服従のためにドゥー県ヴァルダオン(フランス語版)の軍事基地送られ訓練を受け、1か月後にリーフ戦争下のモロッコ送られる予定であったが、志願してパリ駐屯部隊入隊した後に兵役終えた除隊後共産党1921年結成)の活動参加していたジャン・ベルニエ(フランス語版)、マルセル・フーリエ(フランス語版)、ヴィクトル・クラストル(Victor Crastre)らとともに内戦la Guerre civile)』と題する雑誌創刊し、さらに「シュルレアリスト何ができるか」(1926年)を通じて他のシュルレアリストらに文学・芸術革命共産主義革命につなげるよう呼びかけた。これに対してブルトンは、『正当防衛』と題する小冊子発表し、「我々のなかに、ブルジョワジー中産階級)が手にしている権力プロレタリアート労働者階級の手に渡ることを望まない者はいない。だが、一方で、我々にとって必要なのは、内面生活体験実験)を続けることであり、しかも、言うまでもなく、たとえマルクス主義であっても外部からの制御を受けることなく続けることである」と応答した。 だが、これはこの後シュルレアリスム運動マルクス主義または共産党との複雑な関係の一端を示すものであり、すでに作家アンリ・バルビュス小説クラルテ』(1919年刊行)を契機共産主義知識人らが起こした国際的な反戦平和運動クラルテ」および機関誌クラルテ』の編集委員シュルレアリストとの間に協力関係生まれシュルレアリストと『クラルテ』誌の共産主義者によるリーフ戦争反対共同声明「まず革命を、そして常に革命を」が共産党の機関紙『リュマニテ』1925年9月21日付)と『シュルレアリスム革命』第5号同年10月15日付)に掲載されていた。『内戦』誌の刊行こうした共同企画よるものであったが、シュルレアリスト参加得られなかった。だが、この後ナヴィルとマルセル・フーリエが『クラルテ』誌の編集担当すると、まずアラゴン積極的に寄稿し次いでエリュアール、デスノス、ミシェル・レリス参加したナヴィル1926年フランス共産主義青年運動フランス語版)に参加し次いで共産党入党共産主義学生運動事務局務め機関紙前衛学生(l'Étudiant d'avant-garde)』を編集した一方シュルレアリストのうち、アラゴンエリュアールブルトンペレ、ピエール・ユニック(フランス語版)が共産党入党し立場明確にするために「白日の下に(Au grand jour)」と題する小冊子発表して一定の条件付きマルクス主義による革命主張したが、政治的な関わり拒否するシュルレアリストらとの対立は深まるばかりであったブルトンこの後1929年に、史的唯物論立場取りながらも共産党方針批判するシュルレアリスム第二宣言』を発表。このときナヴィルは、独自の道を歩み始めていた。

※この「シュルレアリスムとマルクス主義・共産党」の解説は、「ピエール・ナヴィル」の解説の一部です。
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