シャンテイズ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/21 08:01 UTC 版)
シャンテイズ (The Chantays) |
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出身地 | ![]() |
ジャンル | インストゥルメンタル サーフロック |
活動期間 | 1961年 - |
公式サイト | http://www.thechantays.com |
メンバー | ボブ・スピッカード(ギター) ボブ・ウェルチ(ドラムス) リッキー・ルイス(ギター) ギル・オア(ギター/ベース) ブライアン・ナッスル(ベース) |
旧メンバー | ブライアン・カーマン(ギター) ウォーレン・ウォーターズ (ベース) ロブ・マーシャル(エレクトリックピアノ) |
シャンテイズ (The Chantays) は、カリフォルニア州オレンジ郡で結成された、アメリカ合衆国のサーフ・ロック・バンドで、1963年のインストゥルメンタル・ロックのヒット曲「パイプライン」で知られている。彼らの音楽は、電気楽器としてのキーボード(エレクトリックピアノ)と「サーフ・ギター (surf guitar)」と称されたスタイルのエレクトリック・ギターを合わせたもので、「ghostly(幽霊のような、ぼんやりした)」と形容される独自のサウンドをもっている。
日本語では、シャンティズ[1]、シャンティーズ[2]などと表記される場合もある。
歴史
シャンテイズは1961年に、高校の仲間5人で結成された。ボブ・スピッカード (Bob Spickard)、ブライアン・カーマン (Brian Carman)(以上のふたりは「パイプライン」の共作者)、ボブ・ウェルチ (Bob Welch)、ウォーレン・ウォーターズ (Warren Waters)、ロブ・マーシャル (Rob Marshall) のメンバー5人は全員が、カリフォルニア州のサンタアナ高等学校の生徒で、地元で活動していたリズム・ロッカーズ (the Rhythm Rockers) という音楽グループの勧めでシャンテイズを結成することとなった。1962年12月に録音してリリースされた「パイプライン」は、1963年5月に、Billboard Hot 100の4位に達した。同年には全英シングルチャートでも16位まで上昇した[3]。1963年には、『Pipeline』と題された最初のアルバムも録音され、「ブランダバス (Blunderbus)」、「征服者 (El Conquistador)」も収録された。続いて1964年には、アルバム『Two Sides of the Chantays』が出た。
シャンテイズは、ライチャス・ブラザーズやロイ・オービソンとともに、日本やアメリカ合衆国を数回ツアーし、テレビ番組『The Lawrence Welk Show』に出演した唯一のロックンロール・バンドとなった[4]。
「パイプライン」は、1962年にダウニー音楽出版 (Downey Music Publishing) から楽譜として出版され、サーフ・ロックの代表的なヒット曲のひとつとなった。この曲のカバーは、ブルース・ジョンストン、ウェルク(ドット・レコードから出たアルバム『Scarlet O'Hara』に収録)、アル・カイオラ(ユナイテッド・アーティスツ・レコードから出たアルバム『Greasy Kid Stuff』に収録)、ザ・ベンチャーズ、寺内タケシとブルージーンズ、エージェント・オレンジ、ハンク・マーヴィン、ライヴリー・ワンズ、パット・メセニー、ディック・デイルとスティーヴィー・レイ・ヴォーン(グラミー賞にノミネートされた)、スラッシュメタル・バンドのアンスラックス、バッド・マナーズ、ジョニー・サンダースなどによるものがある。「パイプライン」は映画やテレビ番組、コマーシャルなどでも、しばしば使用されている。また、この曲は、多数のコンピレーション・アルバムに収録されている。
シャンテイズは、音楽への貢献に対して様々な栄誉を与えられている。その最も顕著なものとしては、1996年4月12日に、音楽に永続的かつ重要な貢献をした個人やグループを顕彰するハリウッドのロック・ウォーク (Hollywood's Rock Walk) に加えられたことなどがある[5]。また、「パイプライン」は、「ロックンロールを作った500曲 (the 500 Songs that Shaped Rock and Roll)」のひとつに選ばれている。ライチャス・ブラザーズのビル・メドレーや、ダイアン・キートンとともに、シャンテイズは、サンタアナ市とサンタアナ高等学校によってその名を街路名に残すという栄誉を与えられ、「シャンテイズ・ウェイ (Chantays Way)」が誕生した。『OCウィークリー』誌は、オレンジ郡を代表するバンドのひとつとして、シャンテイズを挙げている[6]。
シャンテイズは、現在も活動を続けている。オリジナルのメンバーであるボブ・スピッカード、ブライアン・カーマン、ボブ・ウェルチに加え、メンバーとして長く活動してきたロングタイム・メンバーのギル・オア (Gil Orr)、リッキー・ルイス (Ricky Lewis)、ブライアン・ナッスル (Brian Nussle) がメンバーとなっている。近年のアルバムとしては、ライブ・アルバム『The Next Set』や、アルバム『Waiting for the Tide』がある[7]。アルバム収録曲には、「Crystal T」や「Killer Dana」のような新曲もあるが、「パイプライン」 、「征服者」、「ブランダバス」など、旧作のリメイクも収録されている[8]。
ブライアン・カーマンは、2015年3月1日に、カリフォルニア州サンタアナの自宅で、クローン病の合併症によって死去した。69歳であった[9]。
メンバー
- ボブ・スピッカード - ギター:オリジナル・メンバー
- ブライアン・カーマン(本名:ブライアン・クレイグ・カーマン (Brian Craig Carman)、1945年8月10日 - 2015年3月1日)- ギター:オリジナル・メンバー
- ボブ・ウェルチ - ドラムス:オリジナル・メンバー
- ウォーレン・ウォーターズ - ベース:オリジナル・メンバー
- ロブ・マーシャル - ピアノ:オリジナル・メンバー
- リッキー・ルイス - ギター:ロングタイム・メンバー
- ギル・オア - ギター/ベース:ロングタイム・メンバー
- ブライアン・ナッスル - ベース:ロングタイム・メンバー
ディスコグラフィ
アルバム
- Pipeline (1963)
- Two Sides of the Chantays (1964)
- Next Set (1994)
- Waiting for the Tide (1997)
日本盤CD『パイプライン~ベスト・オブ・ザ・シャンテイズ』には、最初の2枚のアルバムの全曲と、さらに2曲、合わせて26曲が収録されている[10]。
シングル
- "Pipeline" (1962) LISTEN - 45 single
- "Monsoon" (1963)
- "Space Probe" (1963)
- "Only If You Care" (1964)
- "Beyond" (1964)
- "Greenz" (1965)
- "Fear of the Rain" / "(I Won't Cry) So Be On Your Way" (1965) - The Ill Winds 名義
- "It Never Works Out for Me" (1965) - Leapin' Ferns 名義
ライブ映像
- Pipeline (Lawrence Welk Show, May 18, 1963) LISTEN
- Runaway (Lawrence Welk Show, May 18, 1963) LISTEN
受賞
- ハリウッドのロック・ウォーク (Hollywood's RockWalk) - 1996年4月12日[11]
脚注
- ^ “日本で正月公演 米国3エレキ・バンド”. 朝日新聞・東京夕刊: p. 8. (1965年12月25日) - 聞蔵IIビジュアルにて閲覧
- ^ “オリジナル!永遠のポップヒットVOL19 1960年〜”. OTOTOY. 2016年7月9日閲覧。
- ^ Roberts, David (2006). British Hit Singles & Albums (19th ed.). London: Guinness World Records Limited. p. 100. ISBN 1-904994-10-5
- ^ Lawrence Welk May 18, 1963
- ^ “The Chantays”. Guitar Center. 2016年7月8日閲覧。
- ^ “The 129 Greatest OC Bands Ever: 51 - 89”. OC Weekly (2013年6月19日). 2016年7月8日閲覧。 - シャンテイズは53位とされている。
- ^ “The Chantays”. AllMusic. AllMusic. 2014年9月17日閲覧。
- ^ “Waiting for the Tide”. AllMusic. AllMusic. 2014年9月17日閲覧。
- ^ Daniel E. Slotnik (2015年5月6日). “Brian Carman, Surf Rocker, Dies at 69”. The New York Times
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:|newspaper=
では太字とイタリック体は使えません。 (説明)⚠ - ^ “パイプライン~ベスト・オブ・ザ・シャンテイズ”. Billboard Japan/阪神コンテンツリンク. 2016年7月8日閲覧。
- ^ The Chantays, Honors.
関連項目
外部リンク
シャンテイズ
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「パイプライン (曲)」の記事における「シャンテイズ」の解説
シャンテイズは数多くのサーフ・ミュージックの楽曲を生んだが、「パイプライン」は彼らにとって唯一ヒットしたシングルであり、またこのジャンルを象徴する重要な作品と考えられている。この曲の特異なサウンドは、通常とは逆に、ベース、エレクトリックピアノ、リズムギターを前面に出し、リードギターとドラムスを目立たなせずに背景に置いたミキシングによるところが大きい。45回転シングルは、モノラルでしかリリースされなかったが、録音は左右を明確に分離したステレオで行なわれており、リズムギターは極端に左側、ベースとドラムスは極端に右側、エレクトリックピアノとリードギターは中央に聞こえるようになっている。1984年にMCAレコードが7インチ・シングルを出して以降の再発盤では、音源はステレオ化されている。 1987年11月、シャンテイズは「パイプライン・アンプラグド」と題して、この曲のアコースティック・バージョンを吹き込み、アルバム『Waiting for the Tide』に収録した。 この曲のオリジナル・シングルは、ダウニー (Downey) 104-B としてリリースされ、ドット・レコード(英語版)が全国配給を担った盤はドット (Dot) 16440-B としてリリースされた。45回転盤シングルでは、バンド名は「Chantay's」と表記されているが、これはいわゆる「八百屋のアポストロフィー (greengrocers’ apostrophes)」(複数形を意味する「s」の前に入れるアポストロフィ:本来は誤用とされる)である。本来のA面曲であった「ムーヴ・イット (Move It)」は、チャート入りはしなかったので、このシングルは、B面ヒット (flipped disc) の典型例となった。 この曲は、以前は、BBCテレビのサッカー番組『Match of the Day』のコーナー「今月のゴール (Goal of the Month)」でバックグラウンドミュージック (BGM) として使用されていた。また、1980年代から1990年代にかけての長い間、アイスホッケー・チームのエドモントン・オイラーズが、当時のノースランズ・コロシアム(Northlands Coliseum:後のレクソール・プレイス)におけるホームゲームで、入場曲として使用していたが、これはチーム名オイラーズの由来である石油産業に関わるパイプライン輸送にかけた駄洒落である。
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