サフィヤ・フサイニ事件
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/22 20:30 UTC 版)
「ハウワ・イブラヒム」の記事における「サフィヤ・フサイニ事件」の解説
翌2001年に担当したサフィヤ・フサイニ事件は、ソコト州の小村トゥンガル・トゥデュに住む35歳の女性サフィヤ・フサイニが離婚後、父親の友人である60代の男性との関係により出産し、姦通罪に問われ、同年10月にイスラム法の導入後初めて石打ちによる死刑を言い渡された事件である。当初は強姦とされたが、強姦であっても婚外交渉であることに変わりはなく、姦通罪が成立する。バリヤ・イブラヒム事件と同様に国際的な論争を巻き起こし、アムネスティ・インターナショナルは、「いかなる国の宗教や法律をも尊重するが、死刑、苔刑、切断刑、投石刑など拷問や非人道的、屈辱的扱いを伴う懲罰に対しては無条件で反対する」として「サフィヤを救おう」というキャンペーンを開始し、35万人の署名を得た。2002年3月中旬に行われたバルセロナ欧州首脳会議でも「EU各国はナイジェリアで一人の女性が投石刑に処されるかもしれないという情報を得て、非常に遺憾に思っている」とフサイニを支持する声明を発表し、ナイジェリア政府当局に対して「あくまでも人権と人間としての尊厳を尊重してほしい」と寛大な処置を求めた。オルシェグン・オバサンジョ大統領もフサイニの運命に懸念を表明したが、支援活動を積極的に支持したわけではなかった。2003年に大統領選を控え、当選にはイスラム法を適用する北部州の票獲得が不可欠であったからである。 イブラヒム弁護士は、2002年3月25日に行われた控訴審で無罪を獲得した。ソコト州控訴院は、フサイニの姦通はソコト州にシャリーアが導入される前のことであり、かつ、フサイニの証言(自白)がイスラム法による姦通罪の重大さについて十分に知らされることなく行われたこと(すなわち、離婚後間もないことであり、前夫との子である可能性があったにもかかわらず、婚外子であると証言したこと)を理由に、シャリーア法廷の一審判決は無効であるとした。 サフィヤ・フサイニは2004年にイタリア人作家ラファエレ・マスト(イタリア語版)との連名で、この間の経緯を語った著書(英語版、フランス語版)を発表した。
※この「サフィヤ・フサイニ事件」の解説は、「ハウワ・イブラヒム」の解説の一部です。
「サフィヤ・フサイニ事件」を含む「ハウワ・イブラヒム」の記事については、「ハウワ・イブラヒム」の概要を参照ください。
- サフィヤフサイニ事件のページへのリンク